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2018年11月01日07:36

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占い

 私は「星占い」を信じていません。人類の12分の1が全員同じ日に同じ目に遭う、なんてことはあり得ない、が信じない根拠の一つですが、統計的に調べたら「占いが当たる/当たらない」がすぐわかるはずなのにその確率が公開されずに「こうなる」と自信たっぷりに断言だけされることも気に入らないのです。「今日のラッキーアイテムは○○」とまるで人類がRPGの主人公みたいに扱われることも。
 だけど占星術が存在することには、文化的な意味はあるはず。だから今日の本を読んでみることにしました。
 ちなみに私は「易」は信じています。これは「断言」ではなくて「解釈」ですから「当たる確率」が高いんですよねえ。

【ただいま読書中】『占星術の文化誌』鏡リョウジ 著、 原書房、2017年、2800円(税別)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4562053917/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4562053917&linkCode=as2&tag=m0kada-22&linkId=8c1b2bd1c39919bff38df5ed2292d906
 星占いの「12星座」は「24節気」とほぼ重なっている、という指摘から本書は始まります。なるほど、だから「1月生まれ」とはならず「山羊座(12月22日〜1月19日)」となるんですね。ちなみに12月22日あたりは冬至、1月21日あたりは大寒です。つまり、古代中国で24節気と呼んだのとほぼ同じものを西洋では12星座と呼んだわけ。で、「太陽がその星座の所にある」ことで「誕生日の星座」が決定されます。ということは、その「星座」は昼間なので見えないんですよね。「天動説の世界」はなかなか面白い宇宙の見方をしています。さらに「ホロスコープ」では誕生日の月・水星・金星・火星・木星・土星の位置も加味して判断されるので「12分の1」ではなくて「各個人ごと」の占いができるのだそうです。
 現在の雑誌では星占いの欄が人気ですが、このようなスタイルの「星座別占い(ホロスコープを用いない「太陽星座の占い」)」が雑誌に載るようになったのは1930年代頃から。意外に新しいんですね。60年代に『太陽星座』(リンダ・グッドマン)が英語圏で500万部のベストセラーとなって「星座占い」が爆発的に普及します。本書にその一部が引用されていますが、平易で詩的でメタファーに満ちた文章で「あなた」がどのような人かが描写されていて、読んでいて他の星座の話なのに気分がよくなります。また、神智学の影響を受けた占星術師アラン・レオ(「近代占星術の父」)は、太陽崇拝を占星術に取り入れます。なんだか「天動説(地球が宇宙の中心で他の星はすべて“平等")」が「地動説(太陽が宇宙の中心)」に変わったような印象を私は受けます。
 本書では、「人が占星術をどう思っていたか」「占星術とどうやって一緒に生きていたか」について、各種文献からさまざまな引用が示されます。私は基本的に「読書人」が好きなので、本書の著者にも好感を持ちました。ただ、過去の人は本気で占星術に向き合っているようです。現代人のように「今日はラッキー」とか簡単にすませてはいません。
 占星術とは「宇宙の営み」を「一個人の人生」に“矮小化"しようとする壮大な試み、と言えるかもしれません。しかしその場合でも「基準となる星」はどれか、そして「人がその星を見るのか、その星が人を見るのか」で「その人の星座」はまったく違ったものになってしまいます。私の視点からは「人が太陽を見ている」のではなくて「太陽が人を見ている(支配している)」のではないか、とも思えるんですけどね。


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