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2018年10月26日07:57

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見えない下書き

 私は悪筆です。手紙を書くとき「乱筆乱文お許しください」は「儀礼」ではなくて「本気」で書いています(いました)。で「子供のころから字が汚いのは、もう仕方ない」と思っていたら、ある書道家が「紙には見えない下書きがあって、自分はそれをなぞっているだけだ」と言っているのを聞いて考え込んでしまいました。すると私の目の前の紙にある「見えない下書き」は「汚い字で書いてあるのか」と。それ、誰が書いたの?

【ただいま読書中】『仕事消滅 ──AIの時代を生き抜くためにいま私たちにできること』鈴木貴博 著、 講談社(+α文庫)、2017年、840円(税別)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4062729989/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4062729989&linkCode=as2&tag=m0kada-22&linkId=ad8deedb57faf49fe208f052fd99d64f
 2016年「ディープラーニング」を身につけたAIは「囲碁」の世界で人間を越えました。そして「シンギュラリティ(人類と同等の能力を持つAIが登場する日)」が現実味を持って語られるようになりました。そこで何が生じるか、それを私たちはどう乗り切ればいいのか、対策を早急に立てる必要があります。本書の予測では「最初の仕事消滅」は2025年。時間はもうあまり無いのです。
 本書は「仕事消滅」に関して経済学的に考えるため、「いつ」「なぜ」「生き延びることはできるのか?」「その過程で何が起きるか」「不幸な未来はどう回避するか」「未来はどうなるのか?」と内容がまとめられて章が立てられています。
 「仕事消滅」の予測は複数あります。オックスフォード大学のオズボーン准教授とフレイ博士は「2025年から2035年までに日本の労働力人口の半数が就いている仕事が、AIとロボットに代替可能になる」、マッキンゼーグローバル研究所は「近い将来、6割の職業で3割の業務が自動化可能、2055年頃には世界規模で現在の業務の半分が自動化される」と予測しています。
 ここで「シンギュラリティのパラドックス」が登場します。AIとロボットに少しずつ仕事を奪われると、仕事と収入を失って不幸になる人間が次々増えます。ところがAIとロボットが一挙に人間の仕事を全部奪ったら、それは「肩代わり」となり、GDPは全然減らず、人間はこれまでと同じレベルの生活を労働をせずに過ごすことが可能になります。
 2025年ころ、完全な自動運転が実用化されたら、プロのドライバーは失業します。その数は日本で123万人(宅配便のドライバーは生き残るはずなのでそれは除いた数です)。それ以外にも「20年以内に消える職業のリスト」には具体的に実にさまざまな職業が載せられています。私にとって意外なのは「ネイリスト」。「素敵なデザインの考案・提案」はAIに、「塗る作業」は3Dプリンターに手を入れたら精密に機械がやってくれるようになるのだそうです。ビッグデータを活用したら、銀行の融資担当やクレジットカードの審査や弁護士の助手も不要になるそうです。
 恐ろしいのは連鎖反応があることです。自動運転で人間のドライバーがいなくなれば、交通事故は激減します。したがって自動車保険業界も消滅することになります。
 著者は「『破壊的イノベーション』が登場したとき、『狼が来た』と騒ぐ少数の人と『あんなのおもちゃだ』と片付ける大多数の人がいる。そこから20年で破壊的イノベーションは現実の脅威となり、30年で古い業界最大手が消える」と断言します。その実例として「デジカメ」「ネットでの流通」が挙げられます。で、現在の「AI」はまだ「おもちゃ」扱いです。だけど「おもちゃのようなAI」が出現したのが2012年だとしたら、「危機」はおそらく2030年ころに訪れるはず。
 そういえば将棋ソフトも今から5年前には「おもちゃ」でしたね。あっという間に強くなりましたが。
 ロボットは「指先の器用さ」ではしばらく人間に勝てそうもありませんし、製造に手もかかります。しかしAIはディープラーニングでどんどん進化するしデジタルコピーが簡単です。するとAIの方が普及が早い。すると肉体労働よりは知的労働者の方が仕事消滅のスピードは速くなりそうです。会議でも人間は論理より感情を優先させますが、AIが会議を仕切ったら論理優先であっさり経営方針なんかが決まってしまいそうです。科学者や芸術家の仕事もAIは得意としています。
 「シンギュラリティ後」には、「一部への富の集中」は加速します。格差は広がります。ではそれに対する解決策は……著者は「ロボット経済三原則」を提案しています。ロボットが人間の仕事を奪うのではなくて、共存できる経済的な提案ですが、これはたしかに良さそうですね。資本家は自分への富の集中が減るから、反対するでしょうけれど。


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