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2018年08月30日06:27

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カメラが写すもの

 「写真」とは「真実を写す」と読みたくなりますが、実際に私たちが見ているものは「紙(またはモニター)に定着させられた『光』」です。光を定着させる、とは、真実を写すことに負けず劣らず、すごいことです。

【ただいま読書中】『絶滅の人類史 ──なぜ「私たち」が生き延びたのか』更科功 著、 NHK出版新書541、2018年、820円(税別)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4140885416/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4140885416&linkCode=as2&tag=m0kada-22&linkId=5b04e35d2fea5bc43053c051becccd3d
 人類に一番近縁の動物は、チンパンジーとボノボです。しかしヒトとチンパンジー(やボノボ)の間には“大きな溝"があります。それはなぜか。実は両者の間に25種類の「人類と近縁の種」がいたのですが、それがことごとく絶滅してしまったから“大きな溝"があるように見えるのです。
 ヒトが他の動物と大きく異なることの一つが「直立二足歩行」です。しかし、もしも「直立二足歩行」が「生存に有利」なのだったら、なぜ他の動物がそれを採用しなかったのでしょう(たとえば「飛ぶ」は、昆虫、鳥、コウモリなど複数の動物が採用しています)。それは「短距離走が遅い」という致命的な欠点があるからでしょう(カバでも短距離ならウサイン・ボルト並みに走れます)。ではヒトはなぜ“それ"を採用したのでしょう?
 ヒトが直立二足歩行を始めたのは約700万年前、頭が大きくなり始めたのは250万年前です。直立二足歩行をするホモ・エレクトゥスがアフリカから他の地域に移住をした後、アフリカではホモ・ハイデルベルゲンシスが発生。この種からのちにネアンデルタール人や私たちが進化したのではないか、と言われています。ヨーロッパのネアンデルタール人は、ホモ・サピエンスとの生存競争に敗れて滅亡したことが、私たちの“負い目"のように語られることがあります。しかし、ネアンデルタール人もまたヨーロッパでは生存競争でホモ・ハイデルベルゲンシスを滅亡に追いやっていた過去を持っています。
 脳の容量は、ネアンデルタール人は1550ml、1万年前のホモサピエンスは1450ml、そして現在の我々は1350ml。巨大な脳を維持するためにはエネルギー(=食糧)が余分に必要です。ではネアンデルタール人は何のためにこの巨大な脳を維持していたのでしょう? 著者は「『言葉によらない発想』や『非常に優れた記憶力』など、証拠が残らないメリット」があったのではないか、と想像しています。「適者生存」と言いますが、他の「ヒト」がことごとく滅びて私たちが生き残ったのは「優れていたから」ではありません。「環境に適応して、他の種よりも多くの子孫を残せたから」です。その過程で、他の「ヒト」の遺伝子を取り込むことまで私たちの祖先はやっています。そして「私たちの未来」はどうなるのでしょう? このまま同じ生存戦略(他の種を滅ぼし続ける)でやっていくので良いのでしょうか?




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