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2018年08月24日08:12

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地球平面説

 いまだに「地球は平面だ」と信じている人がいるのが私には不思議ですが、考えてみたら「地球平面説」の人はある意味「物知り」なのかもしれない、と気づきました。だって「自分の家の周囲しか知らない人」の場合「平らかどうか」以前に「世界」という概念も持っていないでしょう? つまりその人にとっては「地球は平面かどうか」でさえ、意味がわからない立問になってしまうわけです。ということで、「地球平面説」の人は、「地球」「世界」「平面」という概念を獲得している点で、大したものだ、と言えそうです。ただ、地球が平面だったら、たとえば「月食」がどうして起きるのかをわかりやすくきちんと説明してもらいたいのですが(他にも説明してもらいたい事柄はいくつかありますがとりあえずこれだけでも良いです)。

【ただいま読書中】『われわれは孤独ではない ──宇宙に知的生命を探る』ウォルター・サリヴァン 著、 上田彦二 訳、 早川書房、1967年、450円
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 まず天動説についての説明から本書は始まります。著者にとってはコペルニクスは地動説ではなくて「天動説の学者」です。私は半分はその意見に賛成です。コペルニクスは当代きっての「天動説の第一人者」でしたから。ただ、「宇宙の中心」を「地球」から「太陽」に移しただけです。ただ、その「だけ」が実はとても大きな知的冒険だったのです。
 こういった「常識」を深く知った上で知的冒険をする態度、が、本書に登場する「宇宙に知的生命を探る」学者たちの態度に共通しているように私には感じられます。本書出版はまだ昭和の半ば、アポロがまだ月に到達していなかった時代に「その向こう」を眺め、そこに知的生命の痕跡を探ろうとする態度には、知性と情動がきれいにミックスした興奮を感じます。
 天動説がじわじわと地動説に置き換わっていた時代、16世紀にドミニク派のジョルダーノ・ブルーノが「宇宙は無限だ」「地球の外にも生物がいる世界がある」と主張して宗教裁判にかけられ異端者として追放されそして最後には火刑に処せられました(「神は人のために地球を造った」が聖書の大前提だから「他の知的生命」の存在を主張するのは神(というか聖書)に対する異議申し立てになるからでしょう)。
 天文学の発達により「地球が宇宙の中心」は「太陽が宇宙の中心」、さらに「太陽系は銀河系の外れにある」、さらに「宇宙には無数の銀河があり、我々の銀河はその中の一つに過ぎない」と概念はどんどん拡張されていきます。それに従って「我々の重要性」はどんどん低下していったようにも見えます(実際には天文学者はそんなことは主張していないのですが。「人間が宇宙の中心にいる」と思いたい人が「我々の重要性が下落した」と主張しているだけです)
 「地球に生命が発生した」のは確かな事実なので、宇宙に地球型の惑星があればそこにも生命が発生している可能性があります。ただ20世紀半ばには「太陽系外の惑星」はまだ観測できなかったので、「地球型の惑星が周回している可能性が高い恒星」についての考察がされていました。
 「生命がいかに発生したか」についても、論争がおこなわれていました。なにしろ再現実験が非常に困難ですから、思考実験が主になり、すると「論争」がいくらでも起こせることになります。「原始地球の環境」を再現して放電実験をしてみたり、隕石をスライスしてその中に生命の痕跡を探したり、の「実証実験」も同時におこなわれていましたが、“決定打"はなかなか見つかりませんでした。
 「火星」も「生命」探求のターゲットとなり「火星の運河」が唱えられるようになります。いや、知的でなくても良いですから火星に本当に生命がいてくれたら、これは地球の生命の起源についても相当インパクトのある知見となるはずです。いて欲しいなあ。
 1959年「ネイチャー」に「電波望遠鏡で、知的生命体が発している電波を発見しよう」という論文が掲載されました。SFではなくて学術論文であることがキモです。かくして深宇宙からの21センチ波長の電波を受信する「オズマ計画」が始まりました。本書発行時にオズマ計画は「とりあえずやってみた」レベルでしたが、それは現在の「SETI」につながっています。
 「山の向こうには化け物が住んでいる」でも私たちは幸せに暮らせます。ただ「山の向こうはどうなっているんだろう?」と思うことは、思うだけでその人を成長させます。同様に「地球の“外"はどうなっているんだろう?」と思うことも、私たちには重要なはず。「そんな馬鹿なことを夢見ていないで、畑を耕して一生を終えれば良いんだ」なんてことを言わないでくださいね。




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