mixiユーザー(id:235184)

2018年08月20日06:36

93 view

無視されるh

 フランスのサッカー代表に「アンリ」という選手がいましたが、そのつづりが「Henri」であると知ったときに、私は小さな衝撃を感じました(「エルメス」が「Hermes」だと知ったのはそれからさらに後のことです)。だけどよくよく考え直してみると、英語でも「honest」「hour」「oh」などで「h」を発音しませんし、ドイツ語でも「ohne」や「Bahn」があります(私はフランス語を丸っきり知りませんが、英語とドイツ語はちょっとだけ知ってます)。
 言語学には無知な単なる素人の思いつきですが、この3つの言葉の御先祖様、ギリシア語かラテン語で「hは発音しない」が一部伝承されているのでしょうか。おっと、イギリスとフランスはローマ帝国の直接支配を受けましたが、ドイツは受けていませんよね。だったらなんで「ローマの言葉」を取り入れたんだろう? 神聖ローマ帝国の時代に取り入れた、とか?

【ただいま読書中】『花殺し月の殺人 ──インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』デイヴィッド・グラン 著、 倉田真木 訳、 早川書房、2018年、2200円(税別)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4152097655/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4152097655&linkCode=as2&tag=m0kada-22&linkId=6a3e8195f95a1e7f77b949fbfb33a2bb
 オクラホマ州オセージ族居留地では、4月はスミレやクレイトニアなど小花の季節です。しかし5月になると丈の高い草が繁茂して小花から光と水を奪い、枯らしてしまいます。だからオセージ族は5月を「花殺しの月」と呼びます。オセージ族はカンザスの故郷から“何もない"荒野に追放されましたが、そこで石油が発見され、その利権によって彼らは大金持ちになってしまいます。白人たちはそれを羨みます。“インディアンごとき"が豊かな生活をするとは、と。なぜそんな荒野に住むことになったのかは都合良く忘れることにして。
 1921年5月、連続殺人事件が起き、オセージ族の人間が次々殺されました。この時代は、禁酒法でギャングが勢力を伸ばし、オセージ族では部族の掟は緩み、西部ではそれまで機能していた「自警の精神」も減退していました。「インジャン(先住民の蔑称)が数人殺された? それで?」といった世間の風潮もあります。保安官は仕事をせず、苛立った遺族は私立探偵を雇います。しかし殺しの手口はエスカレート。それまで拳銃で射殺していたのが、爆弾を家に仕掛けての爆殺まで発生します。
 1925年にやっと司法省の「捜査局」(1935年に連邦捜査局(FBI)と改称される部署)の捜査員がオセージ郡にやってきます。新任の局長J・エドガー・フーヴァーが派遣したのは、彼が理想とする「ダークスーツ、地味なネクタイ、ぴかぴかの黒靴、白人、男性」であるトム・ホワイトでした。実は23年に捜査局は捜査を開始していました(捜査費用はオセージ族負担でした)が、捜査には失敗してフーヴァーは自分の首の心配をするようになっていました。トム・ホワイトは投入された“最後のエース"だったのです。彼は、当時の主流だった「いい加減な証言や噂話に基づく筋書きの形成」ではなくて、科学的捜査と証拠重視の態度を貫くことにします。ホワイトは覆面捜査官のチームを町に潜入させますが、チーム内部に密通者がいることや、何者かに依頼された私立探偵が捜査を妨害しようとすることに悩まされます。事態は犯罪捜査と言うよりは諜報活動のようになってきます。そこで見えてきたのは「腐敗」でした。オセージ族は「能力が足りない半人前の人間(あるいは動物)」とされ、その莫大な財産管理は白人の後見人に任すように政府が制度を定めていました。当然「ハイエナ」がオセージ族に群がることになります。この「インディアン・ビジネス」には、実業家、弁護士、政治家、検察官、判事まで参加していました。「正義」はインディアンの側にありますが、法も組織もマスコミもすべて白人の側にあるのです。
 しかし、現金は収奪できるとしても、その大元である原油の均等受益権は「オセージ族」が所有していて、それを合法的に移動できるのは「相続」だけでした。だから24もの「殺人」が必要になったのです。そして25件目の殺人が実行寸前であることに気づき、証拠はまだ不十分ながらホワイトは容疑者の逮捕を始めます。そして、アメリカ式の裁判の幕が上がります。
 本書では「未熟なアメリカの司法制度が近代化される過程」や「“インディアン"に対する理不尽な差別」が具体的に活写されます。しかし「差別をする人」って、少しは良心の呵責というものがないのかなあ。たとえば「優越種族」が宇宙の向こうからやって来て「人類は劣等だから差別してやる」と言って“自分"が差別されたら、腹が立つでしょうに。




0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2018年08月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031