忠誠の誓い

私の息子家族はアメリカに住んでいて、7歳と4歳の娘がいる。それで、先日メールで長女のビデオを送られてきた。右手を胸に添えて、なにやら難しそうなことをしゃべっている。私の英語力ではきちんと聞き取れないが、これがいわゆる「忠誠の誓い」であることは分かった。息子は流ちょうな英語で堂々としゃべる娘を誇らしく思い、祖父母を喜ばせようとしてこれを送ってきたのだろう。
孫娘の成長は嬉しいが、正直なところある種の違和感を感じもした。私にはあまり大仰なことを子供に言わせたくないという気持ちがある。まだ分別のつかない子供に「忠誠」を誓わせるのは如何なものかと思うのだ。それに、その文言自体にも問題はある。

【　私はアメリカ合衆国国旗と、それが象徴する、万民のための自由と正義を備えた、神の下の分割すべからざる一国家である共和国に、忠誠を誓います　】

他民族の分断の原因の一つとなっているアメリカが "one Nation under God,indivisible" と自国を特権的に扱っていることに抵抗を感じる。"God" という言葉はどうしても旧約聖書の唯一神を想起して、公的文言としてふさわしくない。

それと、小学校へ上がる前はほとんど日本語ばかりしゃべっていた孫娘のことを私は日本人だと思っていた。アメリカ生まれの彼女がアメリカ国籍を持つことは知識として知っていたが、実感としては純粋の日本人であると思っていた。しかし、ビデオを通してみる彼女は正真正銘のアメリカ人であることを知り衝撃を受けた。これからの彼女の人生はもう私の想像の及ばないものになるだろうことを覚った。なんとか幸せになって欲しいと願うばかりである。