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2018年05月22日12:31

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「カンガルー・ノート」

読書日記
「カンガルー・ノート」
安部公房
 作

安部公房最後の長編。主人公は脛にびっしりとカイワレ大根が生える奇病にみまわれ、医者に指示されるまま硫黄泉での治療をめざして自走ベッドで運ばれてゆく。まるで意思を持ったかのような頑丈なベッドは、謎の地下水道を通り、三途の川イベントが繰り広げられる河原へ到達。その後採血コンテスト日本一の看護婦の家や、脳震盪で入院した病院での事件等が続く。

奇妙な出来事が連続するが、ある程度現実的な裏付けがなされているので、純粋なシュールレアリズム小説ではないのかもしれない。この現実感が読みやすい理由で、安心して次の冒険へ入って行ける。シュールレアリズム小説としてはある意味オーソドックスな定番の書き方だと思う。ただ個人的には足にカイワレ大根が生えているという設定がグロテスクで、そこは我慢しながら読んだ。
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