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2018年05月16日12:44

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「リア王」

読書日記
「リア王」
シェイクスピア
 作

老王リアと3人の娘たちの話ではあるのだが、同時にある家臣の妾腹の子が親兄弟を裏切って成り上がろうとする話が進行する。このサブストーリーがなぜ必要なのか?自分も最初は疑問に思ったが、話が進行するうちに本筋と絡んできて全体が重層的な厚みのあるストーリーとなった。

当然ながらリア王はじめ人物のセリフはみな過度に修飾された詠嘆調で、リアリズムとは程遠いものだが、この大仰な詩的装飾が読み進むうちになくてはならない味わいに感じられてきた。その実個々の台詞はその性格をあらわす内容豊かなもので、人間臭い魅力に満ち溢れたものだ。単に神や自然を引き合いに出して飾り付けているだけではないのだ。そしてこのセリフが彷徨える教王リアの魅力を十二分にいや増していると思った。

典型的な分かりやすい善人悪人が入り乱れる中で、リア王と道化の存在がその典型をはずれた面白さを持っている。やはりここが名作の鍵だ。
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