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2018年04月09日07:03

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読んで字の如し〈人偏−4〉「使」

「扱き使う」……扱きを使う
「使用」……使ったり用いたりする
「使用人」……使ったり用いたりしている人
「使者」……使う者
「急使」……急いでいる使い
「正使」……正しいお使い
「駅使」……駅からの使い
「天使」……天からのお使い
「遣唐使」……各国から唐に遣わされたお使い
「小間使い」……狭い部屋をうまく使う
「小使い」……ちょっとだけ使える
「大使」……たくさん使える
「特使」……特殊な使い方
「使い道」……お使いがよく通る道
「使い走り」……お使い独特の走り方

【ただいま読書中】『パリは燃えているか(上)』ラリー・コリンズ&ドミニク・ラピエール 著、 早川書房、2016年(新版)、1100円(税別)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4150504555/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4150504555&linkCode=as2&tag=m0kada-22&linkId=b172aa0bac7892d17fe2d1187f6e317f
 パリ解放戦で戦った、ドイツ軍・アメリカ軍・フランス軍などの兵士800名以上にインタビューし、秘密文書を含む様々な資料を渉猟した、労作です。旧版では読んでいますが、改めて読んでみることにしました。
 ノルマンディー上陸作戦を成功させてヒトラーに西から迫っている連合軍は、パリ解放は後回しにすることを決定していました。ドイツ軍が死守したら「スターリングラードの二の舞」になるでしょうし、解放したらしたで「パリの数百万人の人」を食わせるだけの余裕が連合軍になかったのです。本書ではその事実を、パリ近郊にパラシュート降下してパリのレジスタンスのリーダーに「パリ解放は後回し」という内容の暗号通信を届けるメッセンジャーの姿を描写することで、読者に知らせます。
 1944年8月、パリの人びとは解放を待ち望んでいました。同じ頃ワルシャワでは、ソ連軍による解放を待ち望んで早すぎる暴発を起こした民衆が、ドイツ軍によって虐殺されていました。
 フランスの地下抵抗運動で最も強力だったのは共産主義者の部隊でした。ドゴールは、パリ解放後の権力闘争で、いかに共産主義者を押さえ込むか、に腐心します。同時に、ドイツに対する戦いで、自分の意図に対して非協力的なアメリカ軍に対して苛立ちます。
 ヒトラーはパリに執着していました。彼が最初に従軍した第一次世界大戦でドイツ軍兵士の合い言葉は「パリへ」でした。それは第二次世界大戦の電撃戦でかなえられました。だから「パリを必ず死守せよ」とヒトラーは命令します。その命令には続きがありました。「もし敗れたら、パリを廃墟にしろ」と。そのための適任者として、ヒトラーは、ノルマンディーで連合軍を相手に戦闘中の陸軍少将コルティッツ(無垢の忠誠心を持つ軍人)を大パリ司令官に任命します。ヒトラーに呼びつけられたコルティッツは、急ぎヨーロッパを横断しますが、「狼の巣」で彼が出会えたのは「救国の英雄」ではなくて狂人でした。このときの「印象」が将来の「伏線」となります。
 優秀な軍人たちは、着々と「計画」を立てます。軍事的にもっとも効率的にパリを破壊するためには、水道橋と発電所とセーヌ川にかかる45の橋を破壊するのが良さそうです。しかし「シンボル」としてのパリを破壊するためには、エッフェル塔やノートルダム寺院、リュクサンブール宮殿の破壊なども準備されました。
 ドゴールは急遽アルジェからフランスに駆けつけることにします。ヒトラーはカール自走臼砲(原爆出現以前には最大の破壊力と言われた市街戦用の巨大な大砲)をベルリンからパリに輸送します。そしてレジスタンスはドゴールがやって来る前ドイツ軍がパリを破壊し始める前に決起しようとします。焦点は1944年8月19日(土)のパリに結ばれます。パリの一斉蜂起が始まります。共産主義者の計画の裏をかいて、ドゴール派の武装した(あるいは武装していない)人びとはパリの警視庁に押しかけ、籠もります。派閥に関係なくレジスタンスは、各所の警察や役所に立てこもります。占領軍にとってもパリ市民にとっても地獄が始まります。
 アメリカ軍はまだパリから西、400kmのところでした。補給線が長引くにつれガソリンや弾薬の補給が困難になりつつあります。そのためパリに直行はできません。それどころかアイゼンハワーは「パリを迂回するよう」に命令を出していました。
 7年前に本書(旧版)を読んだときの記憶では、パリの一斉蜂起が起きたのはもうちょっとあと、ドゴールがフランスに到着してパリに迫り、連合軍ももっとパリに近づいてから、となっていました。記憶というのは、あてにならないものですね。
 スウェーデン総領事ノルドリンクは“大活躍"です。逮捕された人がドイツに移送されるのを国際赤十字経由で遅らせようとこれまでも活動していましたが、こんどはパリに一時的な“平穏"を得ようと頭を絞り走り回ります。その結果、コルティッツは最終決断(軍隊を残らず投入)を先延ばしします。(着陸したときにタンクには残り120秒分しか燃料が残っていないギリギリの状態で)ついにフランスの地を踏んだドゴールは、パリで暴動勃発のニュースを知り、アイゼンハワーの計画(パリは迂回)を覆す交渉を始めます。両者の対立は決定的で、ついにドゴールは、連合軍からフランス軍(兵士はフランス人だが装備はすべてアメリカ軍のもの)を独立させて自分で指揮を執りパリに向かう、と脅しをかけます。
 何人もの(男女問わず個人としての)「ヒーロー」が登場します。ドイツ軍のパリ破壊作業を遅延させた大停電を引き起こした電気工、重要なメッセージを運んだ人(男女問わず、子供も含む)、肝腎なときに肝腎な場面を目撃しその情報を肝腎な人に肝腎な絶妙なタイミングで伝えた人、(ドゴールにもできなかった)アイゼンハワーの決心を覆した人……個人の努力の終結し「歴史」が動いていきます。


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