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2018年04月01日07:39

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感謝

 平昌オリンピックのテレビ中継でやたらと耳についたのが「感謝」という単語です。インタビューアーによっては開口一番「誰に感謝したいですか?」とまるで「感謝するのが当たり前で、聞きたいのは誰に感謝するかだ」のような「質問(というか、感謝の表明の強要)」をしていました(感謝するかどうか・それを表明するかどうかは、インタビューアーではなくて選手本人が決めれば良いのですが、そんな「個人主義的な主張」は許されない全体主義的雰囲気が流行しているようです)。ところで、誰かに感謝しろ、と他人に強要している人は、少なくとも強要している間は誰にも感謝していない様子ですね。だけど、カメラの前で自分がそういった仕事ができていることを、誰かに感謝やその表明をしなくてもいいのかなあ。いや、強要するつもりはありませんが

【ただいま読書中】『この湖にボート禁止』ジェフリー・トリーズ 著、 リチャード・ケネディ 画、多賀京子 訳、 福音館書店、2006年、750円(税別)
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 旗ノ湖のすぐそばに建つ山荘に引っ越してきた一家(母さん、ぼく(ビル)、妹のスーザン)。さっそくあたりを探検した子供たちは、自分たちでも漕げるボートを発見します。
 「春休みに湖をボートで探検する子供たち」……イギリスの児童文学が大好きそうなテーマです。二人は湖のたった一つの島に上陸し、楽しく夏休みの計画を立てます。
 しかし、島の所有者と名乗るアルフレッド卿が押しかけてきて「島への上陸禁止」「湖でのボート使用禁止」を命令します。それどころか、一家のボートが置いてあるボート小屋の持ち主に、一家へのボート小屋の賃貸を禁止する、と命令します。……なぜ?
 アルフレッド卿はあたりの嫌われ者でした。大地主であることをいいことに、湖周辺からよそ者を閉め出そうとしているのです。ところがそれでもよそ者はやって来ます。たとえば一家の庭にふらりと訪れたヴァイキングの研究をしている若い女性は、町の教会に古代スカンディナヴィアの十字架があることとアルフレッド卿がスコップを持って森を歩いていたことを教えてくれます。
 ……おっと、この女性は実はよそ者ではなかったのですが(だからと言って地元の人でもないのですが)、それはまた後日のお話。
 アルフレッド卿は、俗物の成り上がり者でした。これはつまり、イギリスの階級社会では、「上」からも「下」からも尊敬はされない、ということを意味します。それを本人は意識しているから、ますます威張り散らそうとします。さらに、森の中で発見した人骨(おそらく1000年前のもの)をすぐに届け出ようとしない、という、現実的にあまりメリットのない行動に執着しています。で、「ぼく」たちの“活躍"(というか、アルフレッド卿の“自爆")によって、検死の審問が開かれ、人骨は1000年前のもので事件性はない、と一件落着……ではありませんでした。
 最後の最後まではらはらどきどきの物語です。それも、徹底して「子供の視点」から描かれているのが見事です。だけど、“脇役"になっている二人の校長先生も、私は好きだなあ。これは大人の視点ですけどね。


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