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2017年12月01日07:51

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ベーシックインカム

 国民に諸国の最低保障をしよう、というベーシックインカムの議論が始まっています。
 私は不思議な気分がします。だって日本では政党交付金という形で“(「最低」ではなくて「最高」の)所得保証"がすでに実行されているのですから。さらにそれに歳費と政治資金を上乗せされている政治家が、「ベーシックインカムには反対」と言うのだったら、「収入」のどれかを国庫に返却してから言え、と私は言いたくなります。

【ただいま読書中】『生物改造時代がくる ──遺伝子組換え食品・クローン動物とどう向き合うか』マイケル・ライス、ロジャー・ストローハン 著、 白楽ロックビル 訳、 共立出版、1999年、2800円(税別)https://www.amazon.co.jp/gp/product/4320055187/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4320055187&linkCode=as2&tag=m0kada-22&linkId=ecdd16848a94267170f0066862fe6c6a
 1999年出版の本ですから、科学技術の点では現在よりも「18年古い」ことになります。ただ、「倫理」についての部分は古くはありません。宗教の倫理(エシックス)と世俗社会の倫理(モラル)にどんな関係があるのか、そしてそれが遺伝子操作などの「生物改造」にどのようにかかわるのか、について、冷静で論理的な話が展開されます。私が一番面白く感じたのは「神は“いない"」という仮説を前提として話を展開した部分です。もちろん「神は“いる"」としてもよいのですが、倫理について話をシンプルにするためには「いない」方が都合が良い、というのは確かにそうなのですが、著者二人はともにプロテスタントの信者なのに「神はいない」仮説を(「仮説」だとしても「とりあえず」だとしても)受け入れちゃって良いんですかねえ。
 大腸菌に人の遺伝子を導入してヒトインスリンを合成させたり、酵母にウシの遺伝子(の複製)を導入してレンネット(チーズ作製に必要な仔牛の胃袋から抽出した酵素群)を合成させたりすることは、「倫理」の観点からどこまで許されるのか、という議論は、実はこの20年間全然新しい展開がないのではないか、と私には思えます。「信者」や「論者」はそれぞれ「自分の主張」を声高に主張し続けているだけで、「建設的な議論」や「止揚」がおこなわれているようには私には見えないのです。
 その点、本書ではどの問題に対しても「賛成」「反対」ときにはそれにプラスして「中間の立場」の意見を並べそれぞれの論点を整理してわかりやすくしてくれ、さらに「どの立場に立つかは、すべての立場の見解を読んだ上で、読者が自分で決定しろ」ときっぱり突き放します。
 “古い本"ですが、今でも読む価値はあります。少なくとも「遺伝子操作と倫理」について言及する人は,この本くらいは「基礎教養」として押さえておいて損はありません。


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