mixiユーザー(id:235184)

2017年11月09日06:54

172 view

半世紀前はいくつ昔?

 今日の本の出版社を見て私は静かに驚いています。今は安倍首相の御用新聞になってしまったところにも、半世紀前にはジャーナリズムの気骨が生きていたらしいので。

【ただいま読書中】『現代史の目撃者』デーヴィド・ブラウン/リチャード・ブルナー 編、内山敏 訳、 読売新聞社、1968年、460円
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B000JA4R46/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=B000JA4R46&linkCode=as2&tag=m0kada-22&linkId=637c3ab1d1dfe992fdcf0e824b620499
目次:「N・Y・タイムズとキューバ侵攻事件」「25年かかった特ダネ」「自動車の中でスクープ」「“ベルリンの壁”の下の地下道」「ヒトラーがここで寝た」「虎穴に入らずんば……」「不可視人間をさがせ!」「キューバ革命の初期のころ」「氷島とアラスカ犬の話」「原爆のナガサキ一番乗り」「1945年の門戸開放政策」「開闢以来最大のニュース」「最後の元帥杖」「独裁者がさかさ吊りになった日」「グアム島での二日酔い」「スターリンからの二通の手紙」「東京の謀略戦」「シャルル・ドゴールと会う」「ナチスを出しぬく」「ヒトラーの計画を阻止した記事」
 歴史的な「特ダネ」を得た記者たちの裏話です。
 「N・Y・タイムズとキューバ侵攻事件」では、特ダネを掴んだ記者と本社の間の論争が結構開けっぴろげに語られています。CIAが亡命キューバ人の進歩派(すでにキューバでの地下工作を進めていた)ではなくて右派(暴力的で、亡命キューバ人社会でもキューバ本国でも不人気なグループ)に肩入れして、成功の見込みがひどく少ない計画を進めていることは、フロリダでは明々白々でした。しかしニューヨークはそんなことは信じません。いくらか事実があるにしても、それを報道したら政府を非難することになります。ということで記事を載せるために記者は苦闘します。ところがいざ事態が起きてしまうと、こんどは周囲のマスコミがでっち上げや憶測記事を派手に打ちあげるものですから、事実に基づいた記事しか送らない記者は本社から「なぜもっと派手な記事を書かないんだ」と非難されます。書いても非難され、書かなくても非難。やれやれ、です。そして後日談として、政府首脳は「NYタイムズが事前にもっと書いていてくれたら、失敗する作戦に乗り出さずにすんだのに」と責任転嫁をしてきます。まったく、とほほ、ですね。
 本書にある「特ダネ」は、すでにすべて「歴史」となっています。厳密には「歴史のこぼれ話」。ただそこに見える人の心の働きや行動は、今とそれほど変わりません。規制や検閲に対しては、知恵を働かせ抜け道を探し、世界にどうやって「真実」を伝えるか記者たちは必死に動き回っています。こういったダイナミックさがある限り、「特ダネ」は生まれ続けるでしょう。


1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2017年11月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930