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2017年10月07日20:06
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10/6 興福寺中金堂再建記念特別展 運慶＠東京国立博物館
運慶作と言われている現存彫刻は全国で31体、そのうちの22体が来るというから史上最大の運慶展となる本展、開幕前からずっと楽しみにしていた。友人がチケット当選で誘ってくれてなんとラッキーなこと。
混雑必至の人気展なので、金曜日の夕方狙いで3時半に入館。雨が本降りの寒い日なのに6時になっても入館者は途絶えることなかったが、展示物が壁面に沿って並んでいるのでなく、林立した仏像を360度から拝観できる展示になっているので「待つ」ことなく堪能できた。もっとも会期末の混雑を想像すると動線が一つでない分混乱しそうだ。やはり空いている日を狙って行くに限る。
奈良が大好きで奈良に行くと必ず行くのが興福寺国宝館。その宝物も来館していたが、最高の照明で間近に360度巡って観られるのは嬉しい。友人に言わせると寺を出る時に魂を抜いてしまうので、仏像本体の輝きが違うらしいが、美術品として鑑賞するには願ってもない好条件。壁に映った影（＝シルエット）も聞いていた通りカッコいい。素晴らしすぎて気づけば3時間も滞在、集中していたのであとでぐったり、所蔵品展は寄れなかった。また改めてこよう。
http://
日本で最も著名な仏師・運慶。卓越した造形力で生きているかのような現実感に富んだ仏像を生み出し、輝かしい彫刻の時代をリードしました。本展は、運慶とゆかりの深い興福寺をはじめ各地から名品を集めて、その生涯の事績を通覧します。さらに運慶の父・康慶、実子・湛慶、康弁ら親子3代の作品を揃え、運慶の作風の樹立から次代の継承までをたどります。
「運慶学園」
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第１章 運慶を生んだ系譜〜康慶から運慶へ
第２章 運慶の彫刻〜その独創性
第３章 運慶風の展開〜運慶の息子と周辺の仏師
まず出迎えてくれたのが、《国宝運慶作の大日如来坐像（奈良・円成寺）》
慶派は円派、院派と並んで仏師三大流派の一つで、康慶は運慶の父。快慶は運慶の兄弟弟子で、来年奈良博で「快慶展」がある。行きたいな。これは運慶の処女作
第２会場の最初も運慶の大日如来坐像で、こちらは比べるとやや小ぶり。近年オークションにかけられて運慶作と発見された。冠が取れているので髷がよく見えて、髪の流れが美しい。
《栃木・光得寺の大日如来坐像》は逗子に入っていてパーツ全てが当時のものだって。如来を支える獅子の姿、如来の周りで雲に乗る多くの仏様の表情までそれぞれ違って小さいながらも精緻、豪華。
毘沙門天立像も3体あって見比べると楽しい。
《東博所蔵、奈良・中川寺十輪院伝来》
彩色が美しく残る。截金も見事で、仏師の名と共に截金師の名も残っているのか、残すべきだと思う。踏まれた邪鬼は左右の足にそれぞれいて２体、手指は3本、足指は２本なのね、とまじまじ見る。
《静岡・願成就院の毘沙門天立像》は運慶作で国宝。運慶の頃には目は玉眼を嵌めるのが流行り、そのため目ヂカラは半端なく、表情はまるで生きているかのよう。菩薩のように半眼で見下ろされても、四天王のようにぎょろっと睨まれても、どちらでもひれ伏し拝みたくなる。まして暗い堂内ではキラリ光ったのではないか。運慶はこのはめ方がものすごく上手だったのではないかと思う。
こちらは《神奈川・浄楽寺》の毘沙門天で3年後の作。槍を持つ手がさらに高く上がり、膝も折っていて、さらに躍動的。
同じく浄楽寺の不動明王立像、運慶作。火炎光背に迦楼羅（かるら）天がいることを友人が指摘。おお！頭の真上に鳥の横顔があった〜
そしていよいよ高野山金剛峯寺の峯寺の八大童子立像の内後補の２体除いた6体登場。
やはり童子（青年）の像は良いなぁ。それぞれ個性があって観ていて飽きない。
制�娉狷源劼離�ールな顔、素敵！矜羯羅童子はぽっちゃり系、一番優しそうだね
烏倶婆ガ童子は怒髪で一番怒っていて、清浄比丘童子は下唇を噛んでいる、口元がいいね。
恵光童子の持ち物や恵喜童子のキャップも可愛くて、皆のアクセサリーもまじまじ観てしまうほど。腕と足首に巻いた２色の紐もおしゃれだなぁ。
ぐるぐる回ってさらに進むと２m以上もある巨人が押し寄せて来る。圧倒！興福寺の四天王立像だ。多聞天、持国天、広目天、増長天。体は鎧で隠れているが顔の筋肉まで隆々としている。今にも動き出しそうな姿はまさにバロック彫刻。かっこいい〜
父康慶の四天王も良かったが、そちらは玉眼でなく、玉眼だとさらに精彩さが増す。康慶四天王は邪鬼を踏みつけていて邪鬼の表情も面白かったけれど、こちらは流木。こちらの四天王に踏まれたら「イテテテテ…」とお茶目な顔をする余裕もなかったろう。
鮮やかな色が目を引いたのは愛知・瀧山寺の聖観音菩薩立像。運慶と湛慶の合作、明治になって再着色。端正なお顔立ちはいかにも観音菩薩。
それに対して、運慶作の無著菩薩と世親菩薩立像はすごく人間臭い。徳の高いお坊様が菩薩になったのだね。精神性の高さがにじみ出ていて、これもまた拝みたくなる。このリアルさ、明治彫刻のよう。
ここで一息は、鳥獣戯画で有名な高山寺の神鹿と子犬。
明恵上人は動物好きだからね。神鹿は神社のものと思い込んでいた。意外。
子犬を可愛く表現できたのは、時代降って円山応挙と思っていたが、彫刻の世界ではすでにコロコロ子犬がいたのね。
最後は、興福寺国宝館で阿修羅像より好きな、天燈鬼、龍燈鬼立像。間近で360度観られて嬉しい！
散々懲らしめられた天邪鬼が改心して自慢の力で灯篭を捧げ持っている。作風の微妙な違いから、龍燈鬼は運慶の作風を濃く継ぐ康弁作とか。お相撲さんのようなお尻もいい肉付き。太くて短い筋骨隆々の足は昔山男だった夫とそっくり。ゲジゲジ眉毛と上目遣いがなんともユーモラスで、緩めの褌がオシメに見えちゃう。楽しくて仕方がない。すごいなぁ、鎌倉仏師。
ラストは浄瑠璃寺伝来の十二神将立像。十二神将は新薬師寺のが大好きだけれど、さくら☆さんに教えてもらってからはこれを見るのを心待ちにしていた。なにせ12のうち辰、巳、未、申、戌の5体が東博所蔵で、子、丑、寅、卯、午、酉、亥の7体が静嘉堂文庫所蔵で一堂に会するのは42年ぶりだって。教えてもらってから東博の5体は東博本館で観たけれど静嘉堂文庫のはまだだった。丑年のポーズは面白いし、巳年の髪型は今流行っぽい、申年の顔は笑える、、、、作者は一人でないらしく、ちょっとずつ作風が違うのもまた楽しく、実に見応えがあった。
大満足の展覧会。11月26日まで。一部展示替え、展示追加あり。
混雑必至の人気展なので、金曜日の夕方狙いで3時半に入館。雨が本降りの寒い日なのに6時になっても入館者は途絶えることなかったが、展示物が壁面に沿って並んでいるのでなく、林立した仏像を360度から拝観できる展示になっているので「待つ」ことなく堪能できた。もっとも会期末の混雑を想像すると動線が一つでない分混乱しそうだ。やはり空いている日を狙って行くに限る。
奈良が大好きで奈良に行くと必ず行くのが興福寺国宝館。その宝物も来館していたが、最高の照明で間近に360度巡って観られるのは嬉しい。友人に言わせると寺を出る時に魂を抜いてしまうので、仏像本体の輝きが違うらしいが、美術品として鑑賞するには願ってもない好条件。壁に映った影（＝シルエット）も聞いていた通りカッコいい。素晴らしすぎて気づけば3時間も滞在、集中していたのであとでぐったり、所蔵品展は寄れなかった。また改めてこよう。
http://
日本で最も著名な仏師・運慶。卓越した造形力で生きているかのような現実感に富んだ仏像を生み出し、輝かしい彫刻の時代をリードしました。本展は、運慶とゆかりの深い興福寺をはじめ各地から名品を集めて、その生涯の事績を通覧します。さらに運慶の父・康慶、実子・湛慶、康弁ら親子3代の作品を揃え、運慶の作風の樹立から次代の継承までをたどります。
「運慶学園」
http://
第１章 運慶を生んだ系譜〜康慶から運慶へ
第２章 運慶の彫刻〜その独創性
第３章 運慶風の展開〜運慶の息子と周辺の仏師
まず出迎えてくれたのが、《国宝運慶作の大日如来坐像（奈良・円成寺）》
慶派は円派、院派と並んで仏師三大流派の一つで、康慶は運慶の父。快慶は運慶の兄弟弟子で、来年奈良博で「快慶展」がある。行きたいな。これは運慶の処女作
第２会場の最初も運慶の大日如来坐像で、こちらは比べるとやや小ぶり。近年オークションにかけられて運慶作と発見された。冠が取れているので髷がよく見えて、髪の流れが美しい。
《栃木・光得寺の大日如来坐像》は逗子に入っていてパーツ全てが当時のものだって。如来を支える獅子の姿、如来の周りで雲に乗る多くの仏様の表情までそれぞれ違って小さいながらも精緻、豪華。
毘沙門天立像も3体あって見比べると楽しい。
《東博所蔵、奈良・中川寺十輪院伝来》
彩色が美しく残る。截金も見事で、仏師の名と共に截金師の名も残っているのか、残すべきだと思う。踏まれた邪鬼は左右の足にそれぞれいて２体、手指は3本、足指は２本なのね、とまじまじ見る。
《静岡・願成就院の毘沙門天立像》は運慶作で国宝。運慶の頃には目は玉眼を嵌めるのが流行り、そのため目ヂカラは半端なく、表情はまるで生きているかのよう。菩薩のように半眼で見下ろされても、四天王のようにぎょろっと睨まれても、どちらでもひれ伏し拝みたくなる。まして暗い堂内ではキラリ光ったのではないか。運慶はこのはめ方がものすごく上手だったのではないかと思う。
こちらは《神奈川・浄楽寺》の毘沙門天で3年後の作。槍を持つ手がさらに高く上がり、膝も折っていて、さらに躍動的。
同じく浄楽寺の不動明王立像、運慶作。火炎光背に迦楼羅（かるら）天がいることを友人が指摘。おお！頭の真上に鳥の横顔があった〜
そしていよいよ高野山金剛峯寺の峯寺の八大童子立像の内後補の２体除いた6体登場。
やはり童子（青年）の像は良いなぁ。それぞれ個性があって観ていて飽きない。
制�娉狷源劼離�ールな顔、素敵！矜羯羅童子はぽっちゃり系、一番優しそうだね
烏倶婆ガ童子は怒髪で一番怒っていて、清浄比丘童子は下唇を噛んでいる、口元がいいね。
恵光童子の持ち物や恵喜童子のキャップも可愛くて、皆のアクセサリーもまじまじ観てしまうほど。腕と足首に巻いた２色の紐もおしゃれだなぁ。
ぐるぐる回ってさらに進むと２m以上もある巨人が押し寄せて来る。圧倒！興福寺の四天王立像だ。多聞天、持国天、広目天、増長天。体は鎧で隠れているが顔の筋肉まで隆々としている。今にも動き出しそうな姿はまさにバロック彫刻。かっこいい〜
父康慶の四天王も良かったが、そちらは玉眼でなく、玉眼だとさらに精彩さが増す。康慶四天王は邪鬼を踏みつけていて邪鬼の表情も面白かったけれど、こちらは流木。こちらの四天王に踏まれたら「イテテテテ…」とお茶目な顔をする余裕もなかったろう。
鮮やかな色が目を引いたのは愛知・瀧山寺の聖観音菩薩立像。運慶と湛慶の合作、明治になって再着色。端正なお顔立ちはいかにも観音菩薩。
それに対して、運慶作の無著菩薩と世親菩薩立像はすごく人間臭い。徳の高いお坊様が菩薩になったのだね。精神性の高さがにじみ出ていて、これもまた拝みたくなる。このリアルさ、明治彫刻のよう。
ここで一息は、鳥獣戯画で有名な高山寺の神鹿と子犬。
明恵上人は動物好きだからね。神鹿は神社のものと思い込んでいた。意外。
子犬を可愛く表現できたのは、時代降って円山応挙と思っていたが、彫刻の世界ではすでにコロコロ子犬がいたのね。
最後は、興福寺国宝館で阿修羅像より好きな、天燈鬼、龍燈鬼立像。間近で360度観られて嬉しい！
散々懲らしめられた天邪鬼が改心して自慢の力で灯篭を捧げ持っている。作風の微妙な違いから、龍燈鬼は運慶の作風を濃く継ぐ康弁作とか。お相撲さんのようなお尻もいい肉付き。太くて短い筋骨隆々の足は昔山男だった夫とそっくり。ゲジゲジ眉毛と上目遣いがなんともユーモラスで、緩めの褌がオシメに見えちゃう。楽しくて仕方がない。すごいなぁ、鎌倉仏師。
ラストは浄瑠璃寺伝来の十二神将立像。十二神将は新薬師寺のが大好きだけれど、さくら☆さんに教えてもらってからはこれを見るのを心待ちにしていた。なにせ12のうち辰、巳、未、申、戌の5体が東博所蔵で、子、丑、寅、卯、午、酉、亥の7体が静嘉堂文庫所蔵で一堂に会するのは42年ぶりだって。教えてもらってから東博の5体は東博本館で観たけれど静嘉堂文庫のはまだだった。丑年のポーズは面白いし、巳年の髪型は今流行っぽい、申年の顔は笑える、、、、作者は一人でないらしく、ちょっとずつ作風が違うのもまた楽しく、実に見応えがあった。
大満足の展覧会。11月26日まで。一部展示替え、展示追加あり。
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