前期の日記はこちら
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屏風と軸で11点ばかりの展示替えだが、出かける用事もあり、リピーター割引もあるので行ってきた。もちろん、素晴らしかったのでまた見たいという思いがあったからこそ。
展示替えになった作品の中からご紹介。
《劉女》(モノクロ画像しかないのが残念)
劉女は9歳の時仙人と道を談じて得度した。結婚しようとした時に突如白い鵞鳥が現れ、劉女は乗って去ってしまった、、、という故事があるらしい。人(仙女?)を乗せてぴゅーっと飛ぶ鵞鳥なんて見たことはないぞ。
この絵は、同じ年に生まれた菱田春草の絵と比較するコーナーにあった。春草は開校したばかりの東京美術学校に学び、新時代の日本画を模索し続けた人、「新派」と言われた。対する秀畝は、画家の家の三代目で、荒木寛畝に弟子入りするという古来の学びを受け、画風も「旧派」と言われた人。
《劉女》と並ぶ菱田春草の作品はこちら《羅浮仙》
前期(秀畝《秋晴》と春草《伏姫》)よりとても比較しやすい。
どちらも中国の美女(仙女と梅の精)だが、春草の絵は輪郭線がない没骨法で描かれている。髪の毛や衣の柔らかくふわっとした質感がよく表せれていて、現代の私たちが見ると、秀畝の線描が稚拙に見えてしまう。でもよく見ると袖の皺を表わす筆の肥痩も伝統的な描き方だし、なんと言っても鵞鳥が上手い。
新旧、どちらがいいとは言えないなぁ。
で、もう1点、中国美人を描いた作品。
《蓮香・梨花九官・海棠鸚鵡》
中央が蓮花。彼女の歩くところ蝶々が飛び交うのは、花のように良い香りがするからだろうか。かんざしを直しながら振り向き、蝶を見やる姿は、浮世絵美人にも似るような。白い鸚鵡と黒い九官鳥が脇を締めて美しい3幅だ。
《溪澗野雉・威震八荒(けいかんやち・いしんはっこう)》
大きく鮮やかな2幅の軸。右は春の渓谷に番いの雉、穏やかな情景だが、左は今襲わんとする鷹に鷺や瑠璃鳥が慌てふためくという緊迫の図。色のグラデーションも素晴らしい。
《夕月》
左隻第三扇にうっすら半月が見える。鹿の姿が物哀しく詩情ある作品だ。
《桜花雙鳩・秋草群鶉図》
キャプションに「省亭のようで 抱一のようで」とある。言い得て妙!
左隻は、まるで江戸琳派。放物線を描く草、たらし込みの葉っぱ。鶉の配置も余白も。
右隻は、飛び立つ鳩、木の上で獲物を見定める鳩の2羽で躍動感がある。
動と静、装飾性と写実性の組み合わせが見事。
《桐に鳳凰図》
後期の畳敷の展示はこちら。鳥の写生が抜群なだけに、鳳凰という架空の鳥となるとイマイチと思ってしまったが、解説読んで納得。飛ぶ鳳凰の上部カットは大胆な構図と言えるし、桐の葉の描き方は新派風。「旧派」と言われるが、実はチェレンジャーの秀畝であった。
4月21日まで
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