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2017年10月10日06:56

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10/9 三沢厚彦 アニマルハウス:謎の館@松濤美術館

ちょうど10年前、当時気になっていた彫刻家二人、舟越桂と三沢厚彦。そのことに触れて三沢厚彦展を観に平塚まで行った、と日記に書いている。

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=419421930&owner_id=2083345

この時のANIMALSが形を変えつつも未だに各地を巡回しているらしい。もちろん私の記憶にも深く刻まれ、この度も早々にアンテナがキャッチ。やった!久々に三沢の木彫りが観られる!
ところは個性派松濤美術館。そこを謎の館に見立て、親交の深いアーティスト4名を客人として招く。その中には舟越桂の名も。HPを見れば、他に類を見ないくらいの数のイベント。トークやワークショップに加え、毎週誰かが公開制作。どうやらただの展示ではないらしい(その証拠に、図録はまだ表紙のみしかできておらず、会期終了後に制作。現在は予約受付中)。

フォト
http://www.shoto-museum.jp/exhibitions/175misawa/

三沢厚彦(1961〜)は、現代日本を代表する彫刻家のひとりです。鑿や刀を使用する木彫という伝統的な技法によって、樟(クスノキ)の丸太から彫りだされ、油絵具で彩色されたその実物大の動物たち「ANIMALS」。それは、まさしく「anima(魂)」が吹きこまれたかのごとく、なまなましい生命感を漂わせています。
そんなアニマルズたちが今度出現するのは、白井晟一設計による特徴的な建築で知られる渋谷区立松濤美術館です。アニマルズたちは、周囲の空気を振動させるような強い存在感を放ちながら、館内に居場所を見つけ、その建築空間と新たなる関係性をむすんでいきます。
ここを「アニマルハウス 謎の館」と称して、彼らの創造主である三沢も、館の主人として、会期中、館内に居場所を構え、制作したり、展示したりする予定です。さらに親交の深い、注目の作家たち―彫刻家・舟越桂、画家の小林正人と杉戸洋(ひろし)、写真家の浅田政志―を館の中へと招き入れていきます。作家たち、またその作品たち同士の交歓と共鳴によって今後巻き起こる出来事にもご注目ください。


少し長くなるが、三沢氏の挨拶も載せておきたい。

ぼくは動物を等身の大きさでつくってます。素材は樟。鑿と彫刻刀を使って彫り込み、着彩する。そんな風に「Animals」はできます。
この度、渋谷区立松濤美術館で展覧会を開催することになった。独自性に富んだ空間を内包した豪華な私邸のようなその建物は、通常の展示ロジックでは攻略できない濃度があり、妙にわくわくした。これは面白いことができそうだ!訪れた時に、まずタイトルだけ思いついた。アニマルハウス。大好きなアメリカのコメディ映画、アニマルハウスと呼ばれる学生寮に住む、怪人、変人(アニマルみたいな奴等)が繰り広げる物語からとったものだ。
すると、おのずと方向性が見えてきた。ぼくが住人兼主人になって、お客さんを迎えるのはどうか?それで以前から、なにか一緒にやりたいね、って話していた、画家の小林正人さんに声をかけたら、面白そうだね、やろうよ、と。そして小林さんが杉戸はいいぞ、って画家の杉戸洋さんを連れて来てくれた。ぼくは先輩彫刻家の舟越桂さんにお声がけし、へ〜、面白そうじゃない、三沢がきめたことだし、いいと思うよ、というありがたいお言葉をいただいた。
どんな展覧会になるんだろう?想像がつかない。白井晟一の設計した館のなかで行われる謎の展覧会。そうか、謎の館。会期中も通して動いていく、展覧会。
そんな展覧会のポスターは、美術館の前でみんなで記念撮影するのが、謎の館らしくいいと思った。誰に撮ってもらおうか?あ、いい写真家がいた、浅田政志さん。そして浅田さんも客人に加わった。
彫刻家と画家と写真家、5人が集まった。僕自身の思いでもあるが、「彫刻と絵画、その間とその先は」というべきものが、館の中で示唆されるべき出来ごととして起こればいいな、と願うのである。両者が個々として存在し、そして溶け合い、次なる瞬間、今までとは全く違う見えかたをする。「アニマルハウス」はそんな体験の出来る場になればいいと思う。なんといっても「謎の館」なのであるから。
しかし、本当のところどうなるのであろうか…。(三沢厚彦)


フォト
入り口で三沢氏のでっかい虎がお出迎え。これだけ撮影可。どっしりと安定の体躯、少し斜視気味の愛嬌ある顔、ノミの跡が荒く残る温かみある肌。やっぱりいいなぁ。
素敵で少し変わった螺旋階段の途中にもウサギがいてこれもまたいい。
壁にはアーティストの肖像写真。背景は明らかにこの美術館だがまさに謎の館とその住人。浅田政志氏の写真だ。15日には彼のワークショップがある。行きたかったぁ〜

1階の展示室は不思議な形をしているのでホワイトキューブに慣れていると動線に迷ってしまうが、今回の展示はその変形空間が妙に居心地がよく、行ったり来たり。グラスとプレートを片手に持っていたら、ほぼホームパーティ気分。
フォトフォトフォト
三沢氏のオオカミ、ライオン、ニワトリ、キリンなどがどどーんといる中に、静かに舟越氏の両性具有のトルソーが並び、壁にはドローイングがかかる。
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ミスマッチなのになんと素晴らしいの。展示には一切キャプションがなく、作品リストもない。どれが誰の作品かという説明もない。
作品同士の対話。三沢氏の動物も斜視で、舟越氏の人も遠くを見ている、目を合わせずに、でも空気が呼応して静かに豊かに語り合っているね。心地よい緊張だ。
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もう一つ大きな作品は小林氏の枠なし巨大カンバス。赤と青のカンバスが会場のこっちとあっちとで向き合うように三角に立てかけられている。その周りに木材やら何やら。どうもここで、小林正人氏と杉戸洋氏の合同公開制作があるらしい。一体何ができるのだろう。一昨日から始まった展覧会、さあ、これからだ。
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2階はもともと邸宅の居間のような作り。こちらの壁は賑やかで、三沢のカラフルな油彩と舟越の絵、そして杉戸の優しい色の断片たち。中央には三沢の巨大な白熊と骨組みまでの馬が絨毯の上に置かれている。完成作のはずの白熊、新しいノミの跡がある。床にはたくさんの木屑。昨日は三沢氏の公開制作の日だったんだ。11月26日にはどんな姿になっているのやら。白熊くんの運命やいかに…

奥の小部屋のガラスケースには小さな作品が。誰かの(多分舟越氏の)アイディアメモが面白い。杉戸氏の作品は子供が気まぐれに色を塗ったような紙切れたち、なぜか愛らしい。都美での展示は今日までだったんだね、見に行かれなくて残念。

口ではうまく説明できないけれど、すごく楽しい展覧会。舟越氏の作品が、なんだかわからない現代アートに睨みをきかせているので、きっと受け入れやすいと思う。
作家来館の日ではないのに結構人が来ていた。会期が終わるまでに何度か訪れて変化を見たいな。公開制作のある土日、どなたかご一緒しませんか?
11月26日まで



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