ノルウェーといえばムンク。
スウェーデンはなんといってもリサ・ラーソン、それからカール・ラーションの展覧会もあった、先日見たガラス作家・山野アンダーソンもスウェーデン在住。
フィンランドは、女性画家ヘレン・シャルフベック、建築家・サーリネンの展覧会を見た。
東山魁夷はノルウェーやフィンランドの湖沼、森、白夜を詩情豊かに描いている。
近年では、西洋美「自然と人のダイアローグ」展などで、時々北欧の画家の素晴らしい作品が紹介されてハッとすることがある。が、ヨコモジ苦手の私は名前が覚えられない。
この展覧会も、初見の画家名ばかり。今回もとても覚えられそうもないが、北欧のテキスタイルや日用雑貨、家具が日本人に人気であるように、絵画も日本人の感性と合いそうな気がする。
びっくりするほど空いていて、静かに「北欧の神秘」を味わうには最適の環境。
最近の音声ガイドでは絵画鑑賞しながら音楽を聴くサービスもあるらしいが、こちらでは、一部絵の下にスピーカーが取り付けられていて、バックミュージックを聴きながら鑑賞するという粋な計らいもあった。
また、4階展示室にはキッテルセンの作品がアニメーション化され大画面で流れている。モノクロペンで描かれた妖精トロルやペスタ(ペスト)がユラッと動き、なかなか面白い。
きっと口コミでじわじわと人気が出てくるに違いない展覧会。撮影は、4階フロア(映像を除く)と最後のゴッホ《ひまわり》のみ可。
https://www.sompo-museum.org/exhibitions/2023/magic-north/
本邦初、北欧の絵画にフォーカスした本格的な展覧会
ヨーロッパの北部をおおまかに表す北欧という区分は、一般的にノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、アイスランドの5 か国を含みます。このうち最初に挙げた3 か国はヨーロッパ大陸と地続きにありながらも、北方の気候風土のもとで独特の文化を育みました。
本展覧会は、この3 か国に焦点を定め、ノルウェー国立美術館、スウェーデン国立美術館、フィンランド国立アテネウム美術館という3つの国立美術館のご協力を得て、各館の貴重なコレクションから選び抜かれた約70点の作品を展覧するものです。
19 世紀から20世紀初頭の国民的な画家たち、ノルウェーの画家エドヴァルド・ムンクやフィンランドの画家アクセリ・ガッレン=カッレラらによる絵画などを通して、本展で北欧の知られざる魅力に触れていただければ幸いです。
序章 神秘の源泉ー北欧美術の形成
19世紀、ナショナリズムの高まりを背景に、北欧諸国においても独自の芸術を探求する潮流が生まれた。北欧独自の自然を描いた風景画、神話や民話に題材を取ったものなども。
カール・ステファン・ベンネット《ストックホルム宮殿の眺め、冬》
冷え冷えとした雪つもる白夜の青白い風景が美しい。馬車の轍、月の輪、そしてカンテラを手に持つ人。静寂。
ロベルト・ヴィルヘルム・エークマン《イルマタル》
イルマタルは、フィンランドの民族叙事詩「カレワラ」に登場する純潔の精霊、大気の女神である。甘美すぎるきらいはあるが、「カレワラ」とそれを描いた絵は民族意識を高めるのに大きな役割となる。ミュシャの「スラヴ叙事詩」を思い出す。
アウグスト・マルムトゥルム《踊る妖精たち》
スウェーデンの画家。月明かりの下、湖の上で妖精たちが手を取り合って舞う。霧がこんなふうに見えたのも北欧の自然だからかも。
1章 自然の力
19世紀後半には、象徴主義が北欧にも浸透した。
ニルス・クレーゲル《春の夜》
スウェーデンの画家。北国に訪れた遅い春、地上に伸びる枝にはまだ芽吹きもないが、地下では力強く根を張る。北欧魂みたいなものを感じる。
ブルーノ・リリエフォッシュ《ワシミミズク》
スウェーデンの画家。同画家の《密猟者》の隣に並ぶ。《密猟者》の下にはスピーカーが置かれ、小鳥の囀りなど森の音が奏でられていた。
ハーラル・ソールバルグ《午後の日差し》撮影可
ノルウェーの画家。不思議なテクスチャーで印象的。
ベッカ・ハロネン《河岸》撮影可
フィンランドの画家。雪解け水であろうか、たっぷりとした水の表現が素晴らしい。
ニコライ・アストルプ《ユルステルの春の夜》
ノルウェーの画家。明るい色彩で豊かな自然の情景を描く。女性が摘んでいるのは「ずいき」かしら。母が八百屋に出ると必ず買ってきて煮物などにしたのを思い出す。鮮やかな赤紫が印象的で。
ガブリエル・エングベリ《湖上の雪解け》撮影可
フィンランドの画家。フィンランドの冬景色は、青みがかった鈍色が重苦しくもあるが静謐だ。
2章 魔力の宿る森ー北欧美術における英雄と妖精
北欧に伝わる神話やおとぎ話から、その舞台となる深い森が、魔法や呪いが効力を持ち、魔物や妖精が住まう場所として、芸術家たちのインスピレーションとなる。
テオドール・キッテルセン《トロルのシラミ取りをする姫》撮影可
民間伝承をモチーフにした作品で国民的画家となったノルウェーの画家。トロルとは森に住む妖精(魔物?)で、大きく怖いトロルのシラミをとってあげている美しいお姫様のこの絵は、ドラマティックな光の演出で、物語の世界に連れて行ってくれる。展覧会のメインビジュアルとなっていて、可愛い漫画のグッズの販売もあった。
会場で放映されているアニメは、キッテルセンのドローイングを数枚動画化したもので、トロルとペスタ(ペスト)の2種類あったが、ルドンのモノクロ版画や、はたまたムーミンに出てくる不思議な生き物たちを想起させ、私はこちらの方が好み。いつかまた、彼のドローイングを見る機会を得ることを楽しみに、名前を覚えておこう。
ガーラル・ムンテ《山の門の前に立つオースムン》他 撮影可
ノルウェーの装飾画家、挿絵画家、理論家。主人公オースムンがトロルを倒し、姫を救出する物語。古代の壁画を思わせるような描き方、また、その装飾性は、どこかミュシャにも似ている。
ガーラル・ムンテ《山の中の神隠し》 撮影可
中世から伝わるバラッド(音楽にのせて歌い継がれた物語詩)が題材。
猫?発見。
アウグスト・マルムストゥルム《フリチョフの誘惑(『フリチョフ物語』より)》撮影可
スウェーデンの歴史・挿絵画家。黒一色の画面が印象的だ。
ヨセフ・アラネン《レンミンカイネンと牛飼い》撮影可
フィンランドの画家。レンミンカイネンは『カレワラ』の登場する英雄。
J.A.G.アッケ《金属の街の夏至祭》
スウェーデンの画家。この展覧会で最も気になった作品がこれ。重厚な建築物の前に島と池が広がり、島の上で人が踊ったり音楽を奏でたり。その様子が水面にも映っている。スウェーデンの伝統行事・夏至祭の様子らしいが、グレーの背景に赤で描いてある。まるで蜃気楼?お祭りは異次元のもののよう…。
3章 都市ー現実世界を描く
近代化が進んだ19世紀、北欧の画家たちも近代都市の風景や日常生活、そして都市開発の陰に増大する貧困などの負の面も描く。
エウシェン王子《初冬の朝》
スウェーデンの画家。古い工場地帯を臨む風景を印象派的な描き方で表現。
アウグスト・ストリンドバリ《街》
スウェーデンの小説家・劇作家。この名をどこかで聞き知ったことがあるのだが思い出せない。ナイフだけで描かれた不穏な風景。遠くに少しだけ光るものが街であろう、あとは嵐が来そうな空と荒れ始めた海。
アルフレッド・バリストゥルム《ストックホルムの水辺の冬景色》
スウェーデンの画家。印象派的な雪の表現に人の温もりが感じられてホッとする。
エドヴァルト・ムンク《ベランダにて》
世界的に最も有名なノルウェーの画家。私の中では、ムンクの絵でノルウェーのイメージができたと言っても過言ではない。ムンクの絵は2点。
アルベルト・エーデルフェルト《ラリン・パラスケの哀歌》
フィンランドの画家。ラリン・パラスケは伝統詩歌詩人。弦楽器の調べとともに哀愁の歌声が聞こえてきそう。
アクセリ・ガッレン=カッレラ《画家の母》
フィンランドの画家。2022年西洋美で開催の「自然と人のダイアローグ」展で出品、西洋美お買い上げの《ケイテイ湖》は、湖面の美しさで話題になり、印象的だった。
↓
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1982655296&owner_id=2083345
こちらはまた違う印象の作品。背景がとても不思議。自然主義から象徴主義へ転向、とのこと。
神秘的、幻想的でとても魅惑的な作品が多かった。6月9日まで
一フロア撮影可だったのでアルバムを作りました。
https://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000121159255&owner_id=2083345
足首捻挫した日に行った展覧会。以降1週間、どこにも行かれず…涙
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