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2017年09月15日07:11

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悟りと笑い

 悟りについて何か言える立場ではありませんが、「自分自身への執着からの解放の瞬間」なのではないか」が私の想像です。
 悟るのはなかなか素人にはむずかしいですが、だったらその“かわり”に「心から笑う」のはどうでしょう。「心から笑った」とき、人は一瞬とは言え「自分自身への執着から解放」されています(解放されていますよね?)。
 ということで、私はこれから「悟るための努力」ではなくて「大いに笑う」方向で生きていくことにします。

【ただいま読書中】『使用人たちが見たホワイトハウス ──世界一有名な「家」の知られざる裏側』ケイト・アンダーセン・ブラウワー 著、 江口泰子 訳、 光文社、2016年、2000円(税別)
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 ジョン・F・ケネディーがジャクリーヌ夫人と運命の演説旅行に出かけるとき、一緒に行きたくてしくしく泣くジョン・ジョンを預けて「あとのことは頼んだよ」と言われたのは、ホワイトハウスのドアマン、プレストン・ブルースでした。このエピソードは先月読んだ『ケネディ暗殺50年目の真実』にも書いてありました。そのブルースが、自宅のラジオで大統領狙撃のニュースを聞き、主人でありかつ友人でもあるケネディー一家を案じて時速90kmでホワイトハウスに向かう姿で本書は始まります。ブルースが自宅に帰ったのは、4日後のことでした。
 アメリカ大統領とその家族は、ホワイトハウスの3階と4階(レジデンスと呼ばれるプライベート空間)で、100人近くの使用人(と250人の臨時スタッフ)に囲まれて生活しています。ファーストファミリーの姿を身近に見ている使用人たちは、過去の大統領たちとは違って、回顧録をほとんど書いていません。彼らは「裏方に徹する」という不文律に忠実で、異様に口が固い人たちなのです。著者はそういった人たちの信頼を得て、多くの話を聞き出しました。また、ホワイトハウスで育った子供たちや過去のファーストレディーたちからも、スタッフについての話を聞き出しています。本を読む前から、労作であることが期待できます。
 ホワイトハウスは国立公園に設置された施設で、そのスタッフは連邦政府内務省傘下の国立公園局に所属しています。仕事はホテルのスタッフと似ていますが、「たった一組の客」にだけサービスをする点が大きく違います。2007年に初のアフリカ系アメリカ人としてチーフアッシャー(スタッフの長)にジョージ・W・ブッシュに任命されたスティーヴン・ロションは沿岸警備隊の少将でした。4年後にその後を襲った二番目のアフリカ系アメリカ人で初の女性チーフアッシャーのアンジェラ・リードは、ヴァージニア州のリッツ・カールトンの総支配人でした。こういった前職の肩書きを見るだけで、「公式に何が要求されているか」がわかる気がします。ただ、非公式の仕事はまた全然違います。キャロライン・ケネディが飼っていたハムスターが逃げたら探し回ったり、家族間の仲介をしたり、とっても“プライベート”な面に立ち入ってのお仕事があるのです。
 大統領選挙の一年半前から、レジデンスのスタッフは“準備”を始めます。新しい大統領と家族がホワイトハウスで最初からくつろげるようにするためですが、「誰」が入るのかは未定ですからそれは大変な苦労を伴います。「現職が勝ってくれるのが一番ありがたい」そうです。ともかく、出ていく元大統領が「追い出される」なんて気分を味わわないように気持ちよく、入ってくる新大統領が入るなり「ここは我が家だ」と感じてくつろげるように、使用人たちはみな大わらわです。
 引っ越しをはじめとして、レジデンスでの私的な経費はすべて大統領一家の個人負担です。そして、どのファーストレディーも経費削減をスタッフに相談することになります。莫大な金額が書かれた請求書にびくともしなかったのは、名門ブッシュ家のバーバラ夫人だけだったそうです。
 常に他人がまわりにいてプライバシーがない生活は、子供たちにとっては特にストレスフルなものです。だけどファーストファミリーの“生の姿”を見なければならないスタッフたちにとっても、未成年の子供たちがはしゃぐのはともかく、飲酒をしたりマリファナを吸ったりしているのは、ストレスの多い体験だったようです。それでも「ハウス」が「我が家」であるように感じてもらえるように、使用人たちはプロとしてベストを尽くそうとしています。
 使用人たちの意見をまとめると、一番気さくだった大統領夫妻は、“父親の方の”ブッシュ大統領のようです。様々紹介されるエピソードは、微笑ましいものから仰天ものまでバラエティーに富んでいます。粗野で口うるさく弱いものいじめをするのはリンドン・ジョンソン大統領。いや、これもまた強烈なエピソードが紹介されます。その中でも「シャワーに対する異様な執着」には、笑うよりも寒い気持ちを感じてしまいます。奇矯な振る舞いでジョンソン大統領に負けないのは、(レーガン大統領の)ナンシー夫人。この人も使用人に対しては相当強烈な存在です。クリントン夫妻はどうも使用人たちにはあまり人気がなかったようです(例外もいますが)。気まぐれがひどく、さらに不倫騒動(とそれに伴う強烈で暴力的な夫婦げんか)。ただ、二人に同情するスタッフもいますし、特に二人の娘チェルシーには特別な同情が集まっています。
 ファーストファミリーと使用人との間に特別な感情の交流が行われる場合があります。特に、使用人に対して敬意を持って遇する大統領(の家族)は好まれます。ホワイトハウス内にも人種差別があります。悪戯や噂話、たまに恋愛。大失敗の話もありますが、多くの大統領は笑って許してくれているようです(許されなかった場合は即刻クビだったでしょう)。
 ケネディー大統領暗殺は、衝撃ではありましたが、ホワイトハウスの“外”での出来ごとでした。しかし「9・11」では「ホワイトハウスも攻撃目標になっている」という噂が流れ、職員は避難を命じられました。しかし、残留を命じられた警護官もいました。大混乱の中、様々な「ドラマ」が演じられています。しかし「自分が標的」と自覚するのは、いやな気分でしょうねえ。
 ところでトランプ大統領は、ホワイトハウスでどんな生活をしているのでしょう。現役の使用人たちは、これまでの大統領へと同様に忠誠心と口の固さで仕事をこなしているはずですが、トランプさんにその価値が正しく評価できているかな?


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