薄暗さをムードと呼べるなら
情感過剰の地階でコックが
微笑んでいた
糊のきいた白衣が砂漠の綿の
ように白く亜流の帽子が初卵の
卵膜よりも白いより、誇りより
慎ましく聳えたち
らさらさと地の天を
こちょこちょとする
雨に従う工作室
日蝕へ犯された木洩れ日の記号を
清流へ同化して駆けてゆく
脛を剥こうが野球小僧は怯まない
旅は
奇怪でジュブナイル
「紙魚の○○」
とても巧い立命だ
てすさびの金魚が
やがて技巧に命を得
机下にドクドクと回頭し
スクワットを防衛する
笑いや吃りや柵で句切る為
ひとをころしても
帆に受けるXO醤の
風がとてもあおくて
ブーツを脱ぐ
それは
生活道路で儀式
ネットの目を数える
寸足らず標識は入れ子細工の末へ
生活の道路
危険なウインチの摩擦
軋り
溜め息と
塔を垂直に昇ってゆく
やがて木材が砕け
ばらばらと降るけれど
その音は遺影の犬が
くわえていって緑のトタン
拡大する真っ白な
浮塵子の点の
点の階段が深刻な気管支炎
を定め零点の風呂へ身と
不安を拡げ
て
天井から滴る
光の粘液を
青春の網で掬い始める
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