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2017年08月20日07:33

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「フェイク」ニュース

 「お前は嘘つきだ」と公言したら名誉毀損で訴えられる心配があるし、その裁判で「嘘」ではなくて「ファクト」だと判明したらこんどは自分のダメージが強くなるから、トランプ大統領は「フェイクニュース」ということばで印象操作する行為を愛用している、と私は感じています。
 ただ「反トランプ」のマスコミが流すニュースには、たしかに「フェイク・ニュース」も混じっている、と私は感じています。たとえば「政治家が明らかに嘘を言っている」場合、それをそのまま報道したら「明白なフェイクを主張している政治家に関するニュース」になっちゃいますよね。「ニュースがフェイク」ではなくて「フェイクに関するニュース」です。

【ただいま読書中】『巨大ブラックホールの謎』本間希樹 著、 講談社ブルーバックス、2017年、1000円(税別)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4065020115/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4065020115&linkCode=as2&tag=m0kada-22&linkId=710fdd9f34f099e43b62a27f972e05d7
 「あまりに重力が強大なためすべてのものを飲み込んでしまって、宇宙で一番速度が速い光さえそこから脱出できない」ブラックホールは、謎の天体です。ところが本書ではさらに謎の「巨大ブラックホール」について扱っています。ブラックホールと言ってもいろいろあるんですね。
 大きな恒星が寿命を迎えると、縮退して白色矮星(密度は1mlあたり1トン)になります。もっと大きな恒星は中性子星(1mlあたり5億トン)に。私たちの太陽の密度は1.4gですからとんでもなく重い星ですが、どちらも「物質としての星」です。ところがブラックホールは、中性子星よりもさらに小さく密度が高くなっているため、その“表面”よりも外側に「ここより内側に入ると光さえ脱出できない」領域ができます。それをシュバルツシルト半径と呼びます。つまり見て「ブラック」なのは「ブラックホールそのもの」ではなくて「シュバルツシルト半径」の内側です。ところで「脱出速度(ある天体の重力を振り切って宇宙に脱出できるための速度)」の計算式には「質量」が入っていません。だから質量がないはずの光でさえ、その光速以上に脱出速度を設定されてしまうと脱出できなくなっちゃうんですね。この計算式が理解できただけで、私は本書を読んだ意味がありました。
 銀河には太陽の1/10〜数百倍の大きさの恒星が数十億〜数千億集まっています。そして各銀河の中心には太陽の100万倍以上の質量の巨大ブラックホールがある、と考えられています。天の川銀河の中心にある巨大ブラックホール(いて座Aスター)は太陽の400万倍の質量です。しかしその半径は1200万kmで水星軌道よりもはるかに小さいのです(太陽〜地球間の距離は1億5000万km)。銀河の中心にぽつんと一つだけある巨大ブラックホールの意味はまだ解明されていませんが、銀河形成のメカニズムと深い関係があると考えられています。次は「明るさ」。「ブラック」のはずですが、その周囲には降着円盤が形成されます(回り中から物質が引き寄せられるのですが、“的”が小さすぎてどうしても軌道がいくらか外れてしまいます。そのためブラックホールのまわりには回り中から集まった物質が「(中心が抜けた)円盤」を形成してから落ち込んでいきます。そのときガスの速度は光速に近くなり、明るく耀きます。ブラックホールが大きければ大きいほど、降着円盤の輝きは増します。だから、銀河中心の巨大ブラックホールは、その銀河で一番明るい天体となるのです。
 ブラックホールを初めて“予言”したのは、なんと1784年イギリスのジョン・ミッチェル(科学者、牧師)でした。ロンドン王立協会の「哲学紀要」に「もしも太陽と同じ密度で太陽よりも500倍の大きさの星があるなら、脱出速度は光速を超え、観測不可能な星になるだろう」という論文を発表したのです。実はこの計算は合っています。質量は500の3乗で1億以上、つまり巨大ブラックホールの質量に相当するのです。1796年にフランスのラプラスは「太陽の250倍の大きさで“ブラックホール”になる」と発表(「ブラックホール」という言葉そのものは使っていませんが)。モーツァルトの時代にすでに“ブラックホール”の存在を思考実験で考えていた人がいるとは、驚きです。ところが「光とは何か」の論争に明け暮れた19世紀には“ブラックホール”は顧みられず、注目を浴びるようになったのは量子力学や相対性理論の20世紀になってからでした。さらに、天体観測が驚異的に進歩したことも、ブラックホールに関する理論展開を後押しします。
 天体観測の歴史では「天の川が銀河であること」「天の川銀河以外にも銀河がたくさん存在すること」は“大きな衝撃”でした。そして、「どの銀河にも中心に巨大ブラックホールが存在する」となるとこれまた大きな衝撃となります。観測によって謎が解明されると、次々新しい謎が登場するのです。
 本書には「ブラックホールの直接観測の可能性」についても語られています。ブラックホールと言えども「重力源」でしかないわけで、だったらその周囲に安定した軌道を設定することは可能なはずです。理論的にはね。ただ、降着円盤から落ち込むガスがX線などを盛んに放出しているし、潮汐力も半端ではなくて宇宙船の中で体が引き裂かれる心配さえあるから、私はブラックホールにあまり近寄りたいとは思いませんが。


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