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2017年07月16日15:53

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安全自動車

 安全運転技術がどんどん進歩しています。だったら、たとえば交通標識と車が通信をして、一方通行を逆走しそうになったらフロントガラスに「進入禁止」とかのマークがバーチャルに投影される、という技術もありそうです。これ、簡単ですよね。現在の交通標識にICチップを埋め込んだらあとは車の側での表示技術だけですから。そうしたら、高速道路の逆走で悲惨な事故、というのも減るのではないでしょうか。

【ただいま読書中】『ガン回廊の朝(下)』柳田邦男 著、 講談社(講談社文庫)、1981年、380円
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 国立がんセンター開設時、すでに胃カメラ(超小型のフィルムカメラを飲み込むタイプ)は使われていて、時代は次の胃ファイバースコープに移ろうとしていました。そして、肺癌に対しても気管支ファイバースコープの開発が始まります。こちらは胃よりも細くないといけないので、開発はさらに大変でした。面白いのは、肺癌については細胞診(組織を取ってきて顕微鏡で悪性かどうかを診断する)がすでにできていたのに、胃の方は見るのはできても細胞診の開発は気管支鏡よりも遅れていたことです。しかし「病気を小さいうちに早く確実に見つけたい」という医師たちの熱意が世界を変えていきます。
 本書で感心するのは、著者が「技術」を理解していることです。きちんと理解しているからそれがどのようなものか易しく説明することができます。きちんとわかっている人のわかりやすい説明は、素人の読者には大変ありがたいことです(わかっていない人間に限って、小難しく説明する傾向が強くなります)。
 肺癌と煙草の関係についても昭和38年ころからすでに問題になっていました。国立がんセンターでも「真実」を知るために大規模疫学調査を開始することにしますが、その会議に集められた学者たちが皆煙草をぷかぷか吸っている、というのが笑えます。
 胃がん診断医たちは「攻め」に出ます。胃の集団検診です。この時代、医学は「治療」が絶対正義で、それ以外のものは「医学ではない」という扱いでした。しかし「がん制圧」のためには「守り」だけでは不十分なのです。そのためには「早期胃癌」という概念を全国の医師に広めると同時に検診ができる医師を育てる必要もありました。やることは山ほどあります。
 また、この時代には、「がんは本人には告知しないもの」でした。だから池田総理が入院したときにも、医師たちは「慢性の炎症」→「前がん状態のポリープ」という説明でマスコミに真相が漏れないようにします(漏れたら本人に告知したのと同じになってしまいますから)。しかし、嘘をつくということは医師の方にも大きなストレスとなっていました。
 昭和42年、国立がんセンターで行われていたネズミに発癌物質を飲ませる実験で、1年の実験で胃癌が発生したことがわかり、ビッグニュースとなります。論文はNATUREに掲載され、数年後に学士院賞が与えられますが、これも「様々な分野の人間が惜しみなく協力する」国立がんセンターのポリシーが生み出したものと言えそうです。同じ時期に国立がんセンターから生み出された気管支ファイバースコープも世界に衝撃を与えましたが、これまた「協力」の産物です。
 ネズミの実験に対して動物愛護団体は異議を申し立てるかもしれませんが、もっとすごい話も登場します。肝臓手術を開発するためにブタで練習する話です。ヨークシャー種のブタの肝臓は人間のものによく似ているので、手術の練習としては最適だったのです。
 本書には、「ガン死の墓銘碑」として各年に癌でなくなった著名人のリストが挟まれています。知っている名前も知らない名前もありますが、癌で亡くなった人の多さが印象的です。そして、今でも「癌との闘い」は継続中のはず。ただ、年を取ったら癌発生率は増えるから、長寿社会はそのまま癌化社会です。この闘いはエンドレスのようです。


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