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2017年04月28日07:06

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どさど

 最近「ドS」という言葉がけっこうあちこちで使われているようですが、「S」って「サド」のことですよね? すると「ドエス」は「ドサド」のことに?

【ただいま読書中】『密室の戰争 ──日本人捕虜、よみがえる肉声』片山厚志・NHKスペシャル取材班 著、 岩波書店、2016年、2300円(税別)
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 「アメリカの国立公文書館に、日本人捕虜の尋問を録音したレコードがあるらしい」という噂を聞きつけた著者はさっそく音源のコピーを取り寄せます。CD12枚にコピーされた約13時間の録音は、雑音混じりでそのまま聞いていたら頭痛を引き起こすだけのものでした。雑音除去の作業と同時に著者はそこに肉声を残した日本人捕虜の“その後”を追跡し始めます。
 レコードが記録されたのは1943〜45年、場所はオーストラリア、ブリスベンの捕虜収容所。
 最初に著者が聞いたのは稲垣海軍主計大尉の声でした。尋問官と穏やかに英語でやり取りをしています。ニューギニアのポートモレスビー攻略作戦に主計長として従軍した稲垣は、退却中に飢餓とマラリアで倒れてそのまま捕虜となっていました。彼は名誉ある死を望みますが、命を助けてくれさらに厚遇をしてくれる連合軍に“義理”も感じています。そして尋問官はその彼の心情に理解を示していました。「厳しい尋問」とはずいぶん雰囲気が違います。
 このポートモレスビー攻略作戦については、2010年に読書した『ココダの約束 ──遺骨収集に生涯をかけた男』(チャールズ・ハペル、ランダムハウス講談社)で詳しく知りましたっけ。「悲惨」をそのまま肉体化したような“作戦”だったことを私は覚えています。
 戦場で入手できる日本語の文書や捕虜からの情報の貴重さに気づいた連合軍は、ATIS(連合軍翻訳通訳部)という諜報機関を設立、同時にアメリカ本土・オーストラリア・イギリス・オランダなどに語学学校を作り「語学兵」を大量に育成しました。重視された捕虜は、将校や教養のある下士官でした。そのために、日本兵捕虜に何段階かのスクリーニングをかけて優先度の高い捕虜を選別し、ブリスベーンに集めて静かな環境でゆっくりと一対一の尋問をしていました。ただし、尋問室の壁の中に盗聴器が仕込まれていて、あとで複数の人間が得た情報を吟味するようになっていました(それが今回の“音源”になったわけです)。
 ここで興味深いのは、日本軍は「生きて捕まるな」と命令はしていたが「捕まったときに尋問には答えるな」とは教えていなかったことです。名前・認識番号・階級だけは答えるがそれ以外は言う必要はない、は「戦時捕虜の国際常識」のはずですが、日本兵はそんなことを知りませんから、優しく扱われるとついつい喋ってしまったのです。「原発は事故を起こさない」だと「事故が起きたときにどうするか、うろたえる」と似ていますね。そのため、捕虜から日本軍の情報は連合国に筒抜けとなり、連合軍は日本軍の防御陣地の裏をかいて次々と作戦を成功させていきました。
 著者は尋問官も探します。70年前のことですからほとんど死亡しているはず、と思っていると、89歳のケントウェルさんに出会えました。その証言は貴重です。たとえば、尋問で聞くように上司から指示された質問リストは、当初は戰争そのものに関する軍事情報が多かったのですが、44年10月以降は「日本固有のこと(日本人のものの考え方など)」を聞き出そうとするようになり、45年5月からは「民主主義という言葉にどんなイメージを持っているか」も質問されるようになっています。明らかに日本を戦場にすることが想定され、あるいは占領後にどのような政策を採るかの参考資料を集めています。なおケントウェルさんは戦後に通訳として日本に上陸しましたが、かつて自分が育った神戸や、自分の母親の出身地の広島が焼け野原になっているのを目撃することになりました。そのことを思い出したとき、彼は声を上げて泣き始めます。
 「戰争」とは「人が人を殺すこと」です。だから戰争から帰ってきた人は、あまり自分がしたことについて語ろうとしません。語る以前に、「思い出すのも嫌です」と述べる人がいます。しかし著者によって「自分の父親が、戦場で人を殺した」ことを示す音源を突きつけられた遺族は、驚愕します。そんなことを父から聞かされたことはなかったのですから。著者は思います。戰争は「国と国」が行うが、そこで行われた人殺しの苦痛は「個人」が負い、国はそれを肩代わりはしてくれない、と。そしてその苦痛は、ずっとその人を苛み続けるのです。
 殺されるのはもちろん嫌です。だけど、殺すのもあまり良いことではなさそうです。それを個人に強制する「国」って、一体何のために戰争を好むんでしょうねえ。
 

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