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2017年04月16日10:34

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平面地球は月食を起こせるか?

 日食や月食は、地球と月が「球体」であることで説明できますし、次にいつどこで起きるかも計算できます。だけど「地球は平面だ」と主張する人たちは、日食や月食をどのようなメカニズムで説明し、次はいつ起きるかをどのような計算式で予告するのでしょう?
 ところで、地球が平面なのだったら、月や火星も平面なのかな?

【ただいま読書中】『天文学者たちの江戸時代 ──暦・宇宙観の大転換』嘉数次人 著、 筑摩書房(ちくま新書1198)、2016年、780円(税別)
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 『日本書紀』には、「百済に暦博士の派遣を要請した」とか「彗星」「日食」の記録がすでにあります。古代日本に導入されていたのは「中国天文学」で、これは基本的に「為政者のための天文学」(「天意を読み取る」と「暦作成」が主目的のもの)でした。しかし、862年に宣明暦が採用された後日本の天文学は長い停滞期に入ります。変化が生じたのは、平和が続いた江戸時代。朝廷の陰陽寮とは無関係な“アマチュア天文学者”渋川春海は幕府の助けを借りて「貞享暦」を作成、幕府には「天文方」が置かれ、以後幕府が「暦」を支配することになります。
 本書では江戸時代を「天文学の概念が大きな変革を遂げた時代」という視点から俯瞰した上で、渋川春海、徳川吉宗と麻田剛立、高橋至時と伊能忠敬、間重富と高橋景保といった「個人」に焦点を当てて「時代」について述べています。
 私自身、こういった「人たち」について個別には知っていますが、こうやって概観することは今までありませんでした(だからこそ本書の価値があるわけです)。
 渋川春海についてはフィクションですが『天地明察』(冲方丁)に詳しく描かれています。
 徳川吉宗は、自身でも天体観測をするような行動的な将軍だったようですが、彼がおこなった「(漢訳された)洋書の輸入解禁」は、のちに日本に大きな変化をもたらします。その代表は『解体新書』(からもたらされた「蘭学」ブーム)ですが、天文学にも「西洋的な宇宙観」(星はすべて天体で、それぞれが独自の運動をしている、という幾何学的な宇宙観)が輸入されたのです。
 高橋至時は「伊能忠敬の師匠」として知られていますが、なかなか大した人です。1803年には『ラランデ暦書』(フランスのラランドが書いた当時のスタンダードとなった天文学書の和蘭語訳)によって「西洋の天文学」に出会い、それを翻訳して世界の天文学の最先端に触れていました。弟子の伊能忠敬に蝦夷地測量を勧めたのは、「地球の大きさを測定するため」でした。江戸となるべく遠い地点を精密に測量したら、「1度」の長さを求めることができ、そこから地球の大きさが計算できる、というわけです。(天文学の『ラランデ暦書』は、解剖学での『ターヘル・アナトミア』に相当するもの、と言えそうです)
 江戸時代にすでにニュートンの万有引力の概念が日本では知られていますし、天王星の観測まで行われています。「鎖国の世界」でも、日本人は「日本の外の世界(それどころか、地球の外側まで)」を意識しながら生きていたようです。
 ……ところで「グローバリズムの時代」に生きる私たち日本人は、どのくらい「世界」について知っているのでしょう? どのくらい「世界」について知りたいと思っているのでしょう? そういった点で江戸時代の人間よりは“進んで”いますよね?


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