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2017年01月29日09:34

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 私は現在2足の革靴を毎日交互に履いています。購入したのは5年前、シューフィッターがいる靴屋でした。足を細かく測定され、靴ひもをきっちり絞めること教わりました。それまでの靴は、踵が片減りしていたのですが、現在どちらの靴も実に快調です。靴そのものも良いのかもしれませんが、ちょっとした調整で歩き方が変化して、靴が減らなくなっているのかもしれません。靴って、人間にとって重要なパーツであるようです。

【ただいま読書中】『柔らかヒューマノイド ──ロボットが知能の謎を解き明かす』細田耕 著、 化学同人、2016年、1600円(税別)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4759816704/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4759816704&linkCode=as2&tag=m0kada-22

 「ヒューマノイド」とは「人間そっくりのロボット」のことですが、では「人間そっくり」とはどういうことでしょう? 「形」?「機能」?「材質」?
 本書では「柔らかさ」に注目して、これからあるべきヒューマノイドの姿を探っています。
 そういえば昭和3年に造られた「學天則」は、空気圧で駆動され表情を変えることができる、という、ある意味「やわらかいロボット」でした。漫画で何か思いついた瞬間に「頭のすぐそばで電球がぴかりと光る」という表現がありますが、この學天則は装置としてこの「ライト」を持っていましたっけ。……おっと、話が逸れました。
 ロボットの骨格部分は「硬い」ので、やわらかいロボットにするためには骨格の外側に柔らかいものをかぶせる必要があります。ところが「硬いもの」と「柔らかいもの」を重ねると「ずれ」が生じます。たとえば「ロボットの手」で、指先のセンサーが位置情報を発しても「ずれ」があると骨格部分の正確な動きができなくなるのです。
 逆に言ったら、皮膚センサーを使って骨と筋肉を動かしている人間は、すごいことをやっていることになります。また、その「ずれ」を積極的に使って人間は環境を認知しているようです(同じ重さでも、ペンと団扇では、振ったときに腕が感じる抵抗は違いますよね。それで自分と環境の関係が認識できるわけです)。
 関節が連動して動くことも重要です。たとえばノブを捻ってドアを開ける動作。これ、私たちはほぼ自動的に行っていますが、じっと観察するとドアの開く角度に応じて「肩関節・肘関節・手首の関節の連動」というとても複雑なことをやっています。ところがロボットの場合、各関節が独立して制御されるので、それを適切に連動させるのは大変です。
 次は二足歩行。「歩行」とは「前に倒れ続ける動作」です。倒れないのは、身体が倒れる前に反対側の脚が振り出されて地面を踏んでくれるから。空気圧人工筋を使って安定した歩行を実現したオランダ・デルフト工科大学のヴィッセらは「歩行は難しくない、ただ前に倒れ続ければよい」というタイトルの論文を書いているそうです。歩く地面がどんな環境(傾斜、地質など)かを、「硬いロボット」は外界センサーで感じますが、「柔らかいロボット」は自己受容センサーで感じることができます。地面を調べなくてもそこを歩いて自分の身体がどう反応するかによって環境を推測できるわけです。
 現在二足歩行ロボットはどんどん進歩していますが、走ったりジャンプするのはまだ難しい。動的なバランスをいかにコントロールするかと着地の衝撃をどうやって“柔らかく”逃がすかが困難なのです。しかしそれが、ハードウエアと制御技術の進歩によって可能になったら、その成果は「人体(スポーツ生理学や医学)」に還元できる可能性もあります。「柔らかさ」は実はとっても“ハード”な話題だったようです。


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