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2016年12月31日08:06

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セブンイレブンの図書館

 7→11時のコンビニに初めて出会ったのは昭和49年のことだったと記憶していますが、やがてコンビニもファミレスも24時間営業が当たり前になりました。最近はその24時間営業を縮小しようという動きも始まっていますが、私が逆に「7→23時」への“営業”拡大を望みたいのは、たとえば「図書館」です。今私が一番利用している図書館は幸い通勤路に位置しているので、仕事の行き帰りにちょいと寄る、が可能ですが、ちょっとでも残業したらもうアウトです。そもそもコンビニがこれだけ普及した原因の一つは「その時間にしか利用できない層」が多かったから、のはず。だったら図書館も“営業時間”をもう少し前後に伸ばす、はできないものでしょうか。

【ただいま読書中】『中学生たちの風船爆弾』中條克俊 著、 さきたま双書、1995年、1650円(税別)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4878910615/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4878910615&linkCode=as2&tag=m0kada-22
 朝霞の中学校で「文化祭で地域について調べて発表しよう」ということで「風船爆弾」というテーマが見つかりました。ところがきちんとした史料はほとんどなく、聞き取り調査を丹念にすることしかありませんでしたが、中学一年生たちは熱心に調査をしました。地元の女学校から工場に勤労動員をした人たちが、まだ地元に何人も生きていました。作業は「何枚かの和紙をコンニャクのりで丁寧に貼り合わせる」もの(これで気密が保たれる球皮になります)。この手作りの気球に爆弾をぶら下げてアメリカ本土を“爆撃”したのです。9300発が飛びアメリカには285発の到達が確認されています。オレゴン州では6名の死者が出ました。中学生たちはそういったインタビュー結果をまとめ、学校で「出版記念会」までやってしまいます(この時にはNHKが取材に来ました)。しかし話はそこで終わりません。中学生たち(と担任)は、風船爆弾に関連した24の地方自治体に問い合わせを行います。すると反応や資料が続々と。さらにアメリカのスミソニアン博物館(終戦直後に押収した資料や風船爆弾の現物があります)にも問い合わせをします(中学一年生には英語の手紙はずいぶん大変だったでしょうけれど)。
 女学生だけではなくて(旧制)中学生も製造に動員されていました。だから本書のタイトルはダブルミーニングです。戦争と平和について学ぶのも中学生なら、戦争に加担したのも中学生だったのです。
 放球基地は海岸近くに設けられました。水素発生には、海水・苛性ソーダ・硅素鉄が必要ですし、バラストとして海岸の砂を乾かして用いていたからです。風船爆弾は、千葉・茨城・福島から放球され、高度1万メートルくらいで低温のため気球がしぼむので気圧計を組み合わせた高度維持計によってバラスト(砂袋)を投下、バラストと焼夷弾を一つずつ落としながら偏西風に乗って2〜3日で太平洋を横断、そこで爆弾を投下、気球は自動爆破、という設計でした。
 しかし、8月7日に「広島が『新型爆弾』で全滅」というニュースが茨城に届き、3日後には「新型爆弾はウラニウムを用いた原爆」という噂が流れてきた、というのはすごいですね。「新型爆弾」に関する大本営の公式発表はなかったはずですが。そういえば風船爆弾も、最初は原爆を搭載する予定だったそうです。やろうと思えば生物兵器を搭載することも可能で、実際に閣議で検討されたようです。だからでしょう、軍はけちけちしませんでした。使われた金は2億円とも2億5千万円とも言われているそうです(現代のレートだとどのくらいになるんでしょうねえ)。
 「風船」は平和のイメージを持っています。だけどそれに「爆弾」がくっつき、それを作るのに子供たちも参加していた。戦争って、本当にヤなものだ、と私は感じます。


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