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2016年12月30日07:26

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彗星の2本の尾

 アニメ映画「君の名は。」では、彗星の尾がきちんと2本描かれていました。一本は「物質(微粒子)」でできていて、彗星の軌道が楕円のため地球から見たらしっかり曲がって見えます。もう一本は「イオン」で、太陽風に吹かれて太陽とは真っ直ぐ反対側に伸びます。
 映画館でそこまで考えながら鑑賞している人は、あまりいないかもしれませんが。

【ただいま読書中】『ハレー彗星フィーバー ──凶星がもたらす世紀末の恐怖』ドナルド・グロップマン 著、 小中陽太郎 訳、 サンケイ出版、1986年、1400円
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 巨大な彗星が地球に接近するたび、世界のあちこちでパニックが起きました。1910年のハレー彗星接近では、史上最悪の彗星恐怖症が世界に流行しました。「科学が進歩したら迷信は退く」と“知識人”はなんとなく信じていました。しかし、分光写真によって「彗星の尾に青酸ガスが含まれている」という発見があり、精密な軌道計算によって「最接近時に地球がハレー彗星の尾を通過する」ことがわかり、その“合わせ技”で「地球生物はハレー彗星の青酸ガスで死滅する」と人びとはパニックになりました。「科学」によって恐怖症が煽られたのです。
 さらにその恐怖を煽ったのはマスコミです。つまり、「科学」と「マスコミ」の合わせ技ですね。
 当時のイギリスは、ビクトリア時代が終わって性的に自由なエドワード時代。アメリカではセオドア・ルーズベルトが国を変革していました。日本では日露戦争が終わって5年。ウィーンではジグムント・フロイトが地歩を固め、アドルフ・ヒトラーは絵を描くことに飽きて新聞の政治面を熟読していました。
 そうそう、ハレー彗星が前回地球に接近した1835年に誕生したマーク・トウェインは1910年にハレー彗星が近日点に達した翌日(本人の希望通り)死去しました。イギリスではエドワード国王が逝去。これを「ハレー彗星の呪い」とみなす人もいました。
 そして、パニックが地球を静かに覆います。祈るだけなら良いのですが、絶望して自殺する人が続出。酸素ボンベは売り切れ。コンスタンチノープルでは、人々が空を見上げている間に地上では野良犬狩りが行われました。世界各地でそれぞれ“イベント”が行われましたが、後日オクラホマで「ハレー彗星に処女が捧げられそうになった」という新聞記事が。著者はその真偽を調査しましたが、「おそらく偽。しかし、もしかしたら、という疑いはちょっとだけ残る」という結論です。
 本書の最後は「未来」。1985〜86年にハレー彗星がまたやってくるので、どのような調査が行われるか、という話です。もちろん私たちにとってはすでに「過去」の話ですが、そういえばいろいろわくわくする話があった、と思い出しました。そういえば日本も探査機を上げましたよね。あれでどんなことがわかったんでしたっけ?


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