mixiユーザー(id:235184)

2016年12月14日07:28

275 view

深海魚を食する

 「深海魚」を食べる、というと一瞬ぎょっとしますが、昔、給食やマクドナルドのフィレオフィッシュには「メルルーサ」がよく使われていましたが、あれって「深海魚」です。

【ただいま読書中】『世界に一つだけの深海水族館』石垣幸二(沼津湊深海水族館館長) 監修、成山堂書店、2016年、2000円(税別)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4425955714/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4425955714&linkCode=as2&tag=m0kada-22
 駿河湾は、海辺からちょっと出たらすぐに深海になる、という知識は持っていましたが、そういった地勢(海勢?)を活かして深海水族館がある、というのは本書で初めて知りました。しかし「深海生物」を飼育・展示する、というのは、とんでもなく難しいことのように素人は思います(だからこそ「世界に一つだけ」なんでしょうが)。
 もともとは沼津の町おこしのために、観光客だけではなくて地元民も集まるレストラン街の「沼津港八十三番地」という施設と水族館を作る構想だったそうです。ところがリーマンショックで構想は頓挫、やっと再開したら東日本大震災で「津波が恐い」と出店拒否が相次いで…… やっとオープンしても「深海魚のメニュー」に最初は「深海魚」というだけで拒否感が強かったそうです。だけど、「深海魚」であるアンコウは高級魚でしょ?
 ちなみに「深海」の定義は「水深200mより深い海」で、地球の海洋面積の80%を占めています。水深200mを越えると、人の目では色の判別ができなくなり、400mを越えると何も見えなくなります。ただ1000mくらいまではかすかな光が届いていて、深海生物はその光も活用して生きています。深海魚はけっこう派手な色使いのものが多いのですが、微弱な光環境ではその方が生き残りやすい、ということなんでしょうね。形は正直言ってグロテスクなものが多いです。本書には各種魚の写真がたくさんありますが、ページをめくるたびに「うげ」と言いたくなります。だけどこれはたぶん「見慣れていないこと」が大きな要素でしょう。深海魚ではない魚でもけっこうグロな形のものはいますが、魚屋で私は(見慣れていて味も知っているから)「美味そう」と見ますもん。
 深海水族館のウリの一つは「ワシントン条約で展示が公認されたシーラカンス」が5体もあることです。残念ながら生きて泳いではいませんが。ちなみに、昔シーラカンスを食べた研究者は「歯ブラシを食べているような味」と言っています。「歯ブラシの味」って、どんなのでしょう?
 駿河湾では,深海底引き網漁が盛んに行われていて、水族館でも漁船をチャーターして深海魚を入手しています。ただ、知識がほとんど無いため、どうやって飼育するか、が大問題。まず「水槽」という環境に慣れてもらい、つぎに餌付け、そして展示水槽へ、という流れですが、どこでもトラブル続出だそうです。このバックヤードだけでテレビドラマが何本も作れそうな気がします。
 本書にはクッキングコーナーもありますが、店で出しているいかにも美味しそうなメニューと並んで、飼育員が試食してみた(そしてちっとも美味しくなかった)“メニュー”も紹介されています。いやもう、飼育員の体験記は,読んでいて大笑いでした。身体を張っています。すごい。私自身食いしん坊ですが、ここに参加したいかと言われたら……う〜みゅみゅみゅ。


1 1

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2016年12月>
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031