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2016年11月12日07:04

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濡れた魚

 水中を泳ぐ魚は、自分が濡れていることに気づいているでしょうか?
 空気中に生きている私たちは空気に関して(風が吹かないかぎり)無感覚ですから、それと同様に魚は「水」を認識していないかもしれません。

【ただいま読書中】『ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女(下)』ダヴィド・ラーゲルクランツ 著、 ヘレンハルメ美穂・羽根由 訳、 早川書房、2015年、1500円(税別)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4152095857/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4152095857&linkCode=as2&tag=m0kada-22
 事件の鍵となる自閉症の少年アウグストの命が狙われます。きわどいところでリスベットが彼の命を救うところに成功しますが、かわりに彼女が撃たれます。それでも、情報がダダ漏れの警察を信用せず、リスベットはアウグストを隠れ家に匿います。
 ここで奇妙なことが起きます。世界から拒絶されているリスベットと自閉症のアウグストの“ウマ”が合ったのです。二人は不思議な“会話”を交わします。数字を使って巨大な数を素因数分解する、という“会話”です。
 リスベットにハッキングされたNSAからは、防諜責任者のエドが「犯人の金玉を潰してやる」と勢い込んでスウェーデンにやって来ます。そこで、リスベットが使うハンドル「ワスプ」の意味が解き明かされます。さらに、なぜリスベットが「女を憎む男を憎む女」になったのかも。いやあ、ここを読むだけで、「ミレニアム」を読んだ、という気にさせられます。
 さらに、この事件の奥底には、リスベットの悲しい「過去」が潜んでいました。リスベットは自分の命を賭けて自分の過去と対決しなければならないのです。

 「シリーズ」ということは、中心人物は“温存”される(善玉の中心人物は殺されない)、という安心感を持ってしまいそうですが、本シリーズではそこまで安易に“安心”をしてよいのかどうかはわかりません。ともかく、“原作者”を継ぐ人が難業を引き受けてくれたことに、読者としては感謝です。


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