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2016年10月13日06:01

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頭の中身

 女を見たら売春か強姦することしか思いつかない男の頭蓋骨の中には、間違いなく脳みそではなくて精子が詰まっているでしょう。
 糞みたいな行動が大好きな人間の頭蓋骨の中身は、きっと糞でしょう。
 つまり、その人の行動を見たら、頭蓋骨を開けてみなくても、その中身は簡単にわかることになります。

【ただいま読書中】『まだなにかある(上)』パトリック・ネス 著、 三辺律子 訳、 辰巳出版、2015年、1700円(税別)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/477781503X/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=477781503X&linkCode=as2&tag=m0kada-22
 主人公が死ぬ(冬の海で溺れ、岩礁に叩きつけられて頭蓋骨骨折・頸椎骨折を負う)シーンで本書は始まります。そこで過去に戻って回想シーンになるのかと思ったら、違います。次のシーンは、死んだ少年が目ざめて「ここは地獄か?」と呟くところです。でも変です。彼がいるのは、かつて家族とともにイギリスからアメリカに向かったときに捨てた家。しかしあたりに人の気配はありません。「地獄」のはずなのに、少年の喉は渇き尿意を感じます。
 そこでやっと回想が。ところがこれがまた謎だらけ。彼の(あ、やっと自分の名前を思い出しました。セスです)、セスの弟には何か問題があるらしく、それが一家のアメリカ移住の原因だったようです。セスの弟が問題を抱えることになった原因にセスも絡んでいる様子です。セスのアメリカでの少年時代にも、何か問題がありそうです。しかしセスはそのことを読者に明かしません。というか、自分自身で直視したくない様子です。
 「今」も「過去」も謎だらけ。まったくパトリック・ネスは一筋縄ではいかない作家です。
 セスは、眠るたびに見る夢の中で少しずつ「過去の断片」を生き直します。機能不全を起こしている家族の中で成長してきたセスの過去を、読者もセスと一緒に“リアル”に知ることになります。セスはなぜか家の二階を忌避しています。しかしいつまでも避けているわけにはいきません。セスは決心します。「よし、地獄がどんなところか見てやろう」と。まずは町に出かけて物資調達です。文明社会で育った人間は便利なものがなければ生きていけないのです。そこでセスは「導電性テープ(金属箔で裏打ちされた包帯)」を見つけます。自分が“ここ”で目ざめたときに手足にぐるぐる巻き付けられていた不思議な包帯です。しかし説明書はありません。
 家の中は埃だらけ、庭も道路も雑草だらけ、店の中はこうもりの糞だらけ、缶詰は膨張しショッピングカートは錆びつき、明らかに“この世界”から人の姿が消えてからずいぶんな年月が経っています。この「(セス専用?の)地獄」と「過去のセスの生活」のカットバックがまるで映画のように積み重ねられながら、ストーリーは進行します。というか、進行しません。セスの人生についてのデータは増えますが、謎は全然解かれないからです。
 誰もいない地獄だと思っていたのに、セスは“出会い”ます。自分より年下の、ポーランド系の少年トマシュとアフリカ系の少女レジーンと、そして「ドライバー」と呼ばれる殺し屋と。3人は殺されないように逃げ回り、3人とも頭の特定の場所を打撲することで死んだことを知ります。レジーンは恐るべき仮説を持っていました。映画の「マトリックス」のような世界に自分たちは生きている(死んでいる)のではないか、というのです。それが本当かあるいは嘘か、セスは謎の中心にあるらしい「刑務所」に侵入することにします。


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