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2016年10月06日07:05

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コメディの活用

 「コメディ」の形容詞は「コメディカル」ではなくて「コミカル」です。「ミュージカル」は名詞ではなくて形容詞で、日本語の名詞の意味で使われる「ミュージカル」は本当は「ミュージカル・コメディ」です。

【ただいま読書中】『三文オペラ』ベルトルト・ブレヒト 著、 千田是也 訳、 岩波書店(岩波文庫)、1961年(83年19刷)、300円
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 1箇月前に読書した『ミュージカル史』(小山内伸)に紹介されていた作品です。
 乞食志願者のフィルチが元締めのビーチャムのところにやって来ます。話を通しておかなければ、勝手に“商売”をしてはならないのです。ビーチャムは世間知らずのフィルチに衣装を貸し乞食としての“正しい振る舞い”を教え込みます。
 ここでもう大笑い。なにしろビーチャムは恩着せがましいことばかりフィルチに言っていますが、上がりの50%は自分のポケットに入れるつもりなのですから。「可哀想な物乞い」の裏側は大変です。
 ところがビーチャムの娘ポリーは盗賊「どすのメッキー」に連れ出されて馬小屋で結婚式です。そこにやって来たのが、警視総監のブラウン。大盗賊と警視総監が親友なのです。ブレヒトの社会風刺は絶好調です。
 そして戴冠式の日、ブラウンに裏切られてメッキーは新妻を残して逃亡生活に。
 そういえば「エドワード王の戴冠式の日に浮浪者たちは警官に邪魔されることなく公園で眠ることができた」は『どん底の人びと ──ロンドン1902』(ジャック・ロンドン)でした。本書の戴冠式は「女王」で『三文オペラ』の初演は1928年ですから、ヴィクトリア女王(1837-1901在位)のことでしょうか? 1世紀も前の時代設定? ともあれ、戴冠式は絶好の稼ぎ時なので、盗賊たちは浮き足立っています。
 こういった「オペラ」(というか、ミュージカルの御先祖)の脚本を読むのは、あまり面白い作業ではありません。歌詞を読んだら歌が聞きたくなるし、台詞を読んだら舞台が見たくなります。
 ただ、最後のあまりにでたらめな(女王や貴族たちをコケにしまくった)「ハッピーエンド」は、文章を読んでいても大笑いできます。舞台だったらもっと笑えたかもしれませんが。


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