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2016年09月30日07:53

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二刀流

 日本ハムの“功績”は、これまでの常識に反した「二刀流」にトライしたことでしょう。それに成功したことはトライの結果にすぎません。私が高く評価するのは「トライしたこと」の方です。
 さて、大谷選手の次の目標は「4番でエース」かな。

【ただいま読書中】『微笑みのたくらみ ──笑顔の裏に隠された「信頼」「嘘」「政治」「ビジネス」「性」を読む』マリアン・ラフランス 著、 中村真 訳、 化学同人、2013年、2600円(税別)
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 笑顔には「社会的役割」があります。それをクレイグ・スミスとヘザー・スコット(社会心理学者)は「顔には、自分自身ではなく、他者を動かす唯一の骨格筋がある」と述べています。
 笑顔には「真の笑顔」と「社会的笑顔」があります。口角を引き上げる大頬骨筋を収縮させることで「社会的笑顔」は簡単に作れます。しかし、眼輪筋を意識的に収縮させて「真の笑顔」を作るのは、多くの人には困難です。この事実を発見したのはフランスの生理学者デュシェンヌで、真の笑顔は「デュシェンヌ・スマイル」(社会的笑顔は非デュシェンヌ・スマイル)と呼ばれています。
 赤ちゃんは子宮の中にいるときから「笑顔の練習」をしています。生後数日で、眠っているときに新生児は笑顔を見せます。生後6週間までに赤ちゃんは親の顔を見ながら笑顔になります。6箇月で他人に見られると笑顔を見せます。そして6最までに、子供は見せかけの笑顔が作れるようになります(これが下手だと「人気のない子供」になります)。
 病気で笑顔が文字通り消えることがあります。たとえば、顔面神経麻痺やパーキンソン病、メビウス症候群という病気でも顔面から微笑みが消えます。すると親しい人は、患者が自分が拒絶されてしまったかのように感じるのだそうです。子供があまり微笑まないあるいは微笑んでも自分1人の時、の場合、自閉症スペクトラム障害(ASD)の場合があります。ASDの診断は大体3歳以降ですが、生後12箇月頃に無表情な赤ちゃんはASDである場合が多いそうです。
 笑顔を「各筋肉の動き」に分解して科学的に表現することが可能だそうです。すると「モナ・リザ」の表情は「83%幸せ、9%嫌悪、6%恐れ、2%怒り」になるそうです。これは静止画ですが、微笑みがどのくらいの速さで浮かび、どのくらい維持され、どのくらいの速さで消失するか、も人間は無意識で捉え、その意味を判定しているそうです。
 「本物の笑顔」と「社会的な笑顔」を人は使い分けていますが、精神を病んでいる犯罪者などの場合、人をだましたり傷つけることで喜びを得ていてその場合には犠牲者や被害者に対して「本物の笑顔」を向けるそうです。なんだか嫌な話です。
 アメリカ大統領選挙では笑顔が「ツール」として重要です。しかしかつての大統領は人前では微笑まないものでした。それが変わったのは、フランクリン・ルーズベルトから。「歯を見せてにっこり笑っている大統領の写真」をアメリカ人が初めて見たのはルーズベルトだそうです。そういえば最近の大統領の写真では、笑っているものがとても多いですね。笑顔は大統領のトレードマークのようです。これは「強さ」と「温かさ」の両立が近代的な「カリスマ」の条件となったことによるのでしょう(かつて「カリスマ」は神聖で超人的な指導者のことでした)。
 サービス業でも笑顔は重要です。笑顔がある方が、顧客満足度は高まりチップは増えます。「感情労働(定義は「公に観察できる顔や身体の表示をつくるために、感情を管理すること」)」の従事者は、はじめは「表面的な演技」の訓練を受けた後「深い演技」の訓練に進みます(たとえば忌まわしい乗客に対して、表面的な演技のフライトアテンダントはにっこり笑って耐えますが、深い演技をするフライトアテンダントは「家を遠く離れて不安で怖がっている旅行者である」とちょっと優しい心遣いができます)。しかし「微笑み」を強制される人の中には、仕事中に感情を持つことをやめる人もいます。個人的な感情と公的な行動があまりに不一致の場合その人は「ロボット」になってしまうのです。まるで人工的な離人体験みたいですね。
 さらに「微笑み」は「女らしさ」と結びつけられる傾向があります。そう言えば日本でも「男がへらへらするな」「武士は三年片頬(三年に1回だけ、それも片頬だけ笑う)」なんてことばがありましたっけ。欧米社会でも女性は笑顔であることが“義務”となっているようです。
 カップルが「深く愛し合っている」か「深い欲望を持っている」かを区別することも表情から可能だそうです。社会心理学の観察から、前者はより多くのデュシェンヌ・スマイルを相手に示しますが、後者はデュシェンヌ・スマイルは少なくそのかわりに唇の動き(唇をかむ、なめる)が多く見られたそうです。微笑みは目尻に、性的欲望は唇に表出される?
 笑顔には“外国なまり”があるそうです。本書には「特徴的なフランス風の笑顔」としてカトリーヌ・ドヌーブ、「特徴的なイギリス風笑顔」としてチャールズ皇太子の写真が載っていますが、国ごとに笑顔の“方言”があって、国境を越えたら笑顔の“結果”を予測することが困難になります。そう言えば日本人の「あいまいな笑顔」が欧米人には不評だ、と聞いたことがありますが、同じことがこちらからも言える、ということなのでしょう。ただ、文化が違っても「笑顔が人間関係の中に存在していて何らかの機能を期待され何らかの機能を果たしている」ことはどこの社会でも共通です。そして、「未来」には「ロボットと人類が共存する社会」が待っています。その時ロボットはどんな「笑顔」をヒトに見せるのでしょう?


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