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2016年07月25日07:47

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太陽面通過

 「月の太陽面通過」は「日食」と呼ばれます。他の星もすべて太陽の影を引いていて、その影を地球が通ったら「食」が起きるわけです。あまり派手ではありませんが、「水星の太陽面通過」なんてものもあります。
 ということは、火星や木星からは「地球の太陽面通過」が観測できることがある、ということなのでしょうか。一度見て見たいなあ。

【ただいま読書中】『日本のものづくりはMRJでよみがえる』杉山勝彦 著、 SBクリエイティブ、2015年、800円(税別)http://www.amazon.co.jp/gp/product/479738266X/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=479738266X&linkCode=as2&tag=m0kada-22
 「日本のものづくり」礼賛の風潮が最近ありますが、著者はそこに「無責任」を感じています。日本のものづくりには強みと弱みがあり、それをきちんと見て評価するべきではないか、と。
 この考え方に私は同感するので、「単純な礼賛本ではなさそうだ」と、本書を読んでみる気になりました。無責任な礼賛本を読むのは時間の無駄ですから。
 MRJ(三菱リージョナルジェット)のような100人未満のジェット旅客機を「リージョナルジェット」と呼びます。かつてジェット機は100人以上でないと採算が取れなくて100人未満はプロペラ機が担当していましたが、ハイテク装備で燃費もプロペラ機並みのリージョナルジェットなら既存の地方路線だけではなくて新しい路線の開拓も可能です。
 国産機と言えば私は「YS−11」を思いますが、これは産業から見たら完全な失敗作だそうです。期待そのものは非常に優れていたのですが、国策会社の官僚主義が開発の足を引っ張り、マーケティングは完全な失敗。しかも機を熟成させることよりも「次の計画」に浮ついている始末。本書では「開発が食い散らかし」と表現されています。名指しはされていませんが、一体誰が食い散らかしたんでしょうねえ。
 通産省は次々「官主導」での国産機開発計画を打ちあげ続けますが、その執念には感心するものの、成果はゼロ。おっと、ゼロ、と言うのは不適当ですね。少なくとも「こうしたら失敗する」ということは学べましたから。とても高い授業料でしたが、それを支払った上でこんどは「民間主導」での開発計画がスタートします。それがMRJです。
 機体には複合材が用いられます。エンジンはターボファンジェット。これは、吸入した空気のほとんどはそのまま圧縮して後ろに噴き出し、一部だけを燃料の燃焼に使う構造になっています。燃焼室に送らない空気が多ければ多いほど(バイパス比が高いほど)燃費は良くなります。MRJの現時点でのライバルは、ボンバルディア(カナダ)とエンブラエル(ブラジル)ですが、そのどちらにもMRJは燃費で20%優位に立っています。「1%の差」が問題になる世界で「20%」はインパクトがあります。ただ、これから出現する新型機はMRJと同じプラット・アンド・ホイットニー社製のものも採用するでしょうから、いつまでもこの優位が保てるわけではありません。だから必要なのは、だらだらした会議の時間や決済のハンコの数を競うのではなくて、少しでも早く世界にきちんと売り込んでシェアを確保し実績を示せるようになることです。
 著者は「これからは『薄利多売』ではなくて、付加価値を求めて言わば『厚利寡売』を日本は目指すべき」と主張します。発想の転換ですが、それができなければおそらくこれまでの「失敗の歴史」がこれからも積み重ねられるだけでしょう。
 日本には「職人技」が(まだ)あります。それを世界に“高く”売りつけることができたら、「日本のものづくり」が世界になくてはならないものになります。MRJは一つの“シンボル”ですが、これをただのシンボルにするか、それともその後から次々と新しいものが世界に打って出て“シンボル”の“厚み”を増すことができるかどうかで、21世紀に日本がきちんと生き残ることができるかどうかが決定されることでしょう。



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