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2016年07月16日06:59

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読んで字の如し〈草冠ー29〉「慕」

「愛慕」……慕うことを愛する
「思慕」……慕っていると思っている
「慕情」……情けのある慕い方
「企慕」……慕わせるように企てる
「横恋慕」……身が軽ければ上恋慕も可能

【ただいま読書中】『ブギウギ 敗戦後』坂東眞砂子 著、 角川書店(角川文庫)、2013年、629円(税別)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00BEPJ3QM/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=B00BEPJ3QM&linkCode=as2&tag=m0kada-22
 『敗戦前』で自殺として処理されたUボート艦長の事件が、占領軍によって蒸し返されます。艦長は重大な機密書類をマイクロフィルムとして所持していたはずなのに、それが見つからないのです。法城はこんどは占領軍の命令でまた箱根に向かいます。敗戦前は日本軍の命令、戦後は占領軍の命令、社会がどう変わろうと法城は逆らえない命令によって動かされます。
 艦長の死体の第一発見者、女中のリツは旅館をやめて東京に出、生のジャズと出会っていました。彼女の歌い手としての才能が開花します。しかし、艦長のマイクロフィルムの謎が彼女を追跡します。
 法城もマクロフィルムを追い、箱根にまた戻ります。そして、自分の「敗北の屈辱」を改めて認識させられてしまいます。日本が敗戦をしたように、法城個人も敗北をしていたのです。
 しかし、リツは古い男を忘れて新しい女になろうとし、法城は敗北の屈辱を忘れて新しい出発をしようとしているかのようですが、女の方は「忘れる」がけっこう上手なのに、男は下手くそ、というのがちょっと身につまされます。


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