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2016年07月15日06:25

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日本の伝統

 戦前の「日本の伝統」を“取り戻す”と主張する人がいますが、私の視点からは、平安時代からの「日本の伝統」がキリスト教の教義や概念(唯一の神、福音を世界に広める、異教徒は人間扱いしない)に“汚染”されたものが明治時代〜昭和の戦前までの「日本の伝統」であるように見えます。

【ただいま読書中】『ブギウギ 敗戦前』坂東眞砂子 著、 角川書店(角川文庫)、2013年、629円(税別)
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 ドイツが降伏、東京や横浜は空襲で焼き払われ、本土決戦が囁かれているとき、箱根でドイツ人将校(日本に最後にやって来て撃沈されたUボートの艦長)の死体が発見されます。箱根に収容されている多数のドイツ人捕虜を管理するのは海軍だったため、海軍法務科の夜須中尉とドイツ語ができるということで駆り出された心理学部の助手法城が捜査に当たることになります。
 海軍の将校が、ひどく浅い池で溺死、しかも首や肩に圧迫されたような不自然な傷、ということで夜須と法城は他殺を疑います。しかしドイツの軍医は「ともかく溺死である」と突っぱねます。なぜか艦長は死の直前、絶滅収容所のことについて調べていました。それが殺人の動機? では犯人は誰?
 死体を発見した女中のリツは、気楽にヘッチョイ節を歌いながら仕事をしているように見えますが、心の中には蟹の泡のようにぶくぶくと次から次へと想念の泡が湧き続けています。戦争の行方、結婚してすぐに出征してしまった夫のこと、学童疎開だけではなくてドイツ人捕虜まで引き受けることになった旅館の仕事のきつさ、空腹…… そしてリツは、水兵のパウルと急接近をします。リツの脳内はますます泡立ちます。戦争の中、殺人事件のお隣で、リツは一人空想の世界に逃避しています。捜査への特高の介入(予断によって犯人をでっち上げ自白を得るために拷問)を防ぐために夜須は「艦長は自殺」とすることで事件を納めます。
 法城は特高に目をつけられ拷問を受け、戦争が終わり、箱根に英語とジャズがやって来ます。リツは妊娠し、夫が復員したのに旅館で仕事を続け、シンガーとして意外な才能を示すようになります。しかし、密通相手のパウルも湖で溺死。これは事故死として片付けられますが……


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