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2016年06月01日09:09

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「三角帽子」

読書日記
「三角帽子」
ペドロ・アントニオ・デ・アラルコン
 作

「三角帽子」:ファリャのバレエ音楽としても有名な19世紀のコメディ。
粉屋(水車小屋)の美人女将に恋した市長。こいつがふだんから豪華な三角帽子を被り、鼬と呼ばれる手下の邏卒を従えて街を練り歩いている。なんとか計画を立て水車小屋夫婦を欺き、美人女将を手に入れようとするが…。
我が儘でアホなエライさんとすばしっこい追従者、服装を取替えて人物が入れ替わったり、市長が女房に頭が上がらなかったり、コメディとしての古典的な設定や展開はあるが、それでも陳腐にならずおもしろい。単なるキャラクターとしての役割以上に人物の言動がリアルなのでニヤニヤしてしまう。さすがによくできている。

「モーロ人とキリスト教徒」:イスラムの民モーロ人が残した財宝の在り処を記した羊皮紙。この文書の解読のため羊皮紙を手渡された人間が次々と裏切ってそれを自分のものとし、最後にお尋ね者が手にして発見者のじいさんのところへやってくる。
だんだんと貧乏でワイルドな暮らしをしている人間に羊皮紙が渡っていくのがおもしろかった。貧しいモーロ人の夫にこき使われながらも信頼を寄せている女房が傷ましい。

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