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2016年05月09日06:59

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最近の車掌のお仕事

 この前久しぶりに新幹線に乗ったら、車掌が検札に来なくなっていました。車内放送を聞くと、自由席だけは検札をするけれど、指定席は検札をしない、ということだそうです。まったくノーチェックでキセルのし放題、ということではなくて、コンピューターの席予約情報を車掌が手元で確認できるようになった、ということなのでしょう。
 では車掌が暇になったか、と言ったら、違いました。まるで検札の代わりのように、ゴミ袋を持って車内のゴミ回収に精を出しています。折り返し駅での清掃作業がこれで少し時間の節約ができるようになる、ということなのでしょうか。ただ、車内清掃は車掌のお仕事でしたっけ?

【ただいま読書中】『人、旅に出る ──『SWITCH』インタビュー傑作選』新井敏記 作、講談社、2005年、2600円(税別)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/406212310X/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=406212310X&linkCode=as2&tag=m0kada-22
 『SWITCH』という本のことは知りませんが、本書に登場するインタビューイーは、豪華です。ヴィム・ヴェンダース、井上陽水、吉田美和、Cocco、桜井和寿、桑田佳祐、勝新太郎、デニス・ホッパー、岩井俊二、北野武、寺島進、浅野忠信、宮沢りえ、野田秀樹、深津絵里、松たか子、七代目市川新之助、福山雅治の18人。
 ただ、インタビューのやり口はちょっと変わっています。たとえば井上陽水とは、しばらく行動を共にした後、質問一覧を原稿用紙に書いて渡しています。井上陽水はそれを読んで返答を(口頭ではなくて)同じく原稿用紙にしゃかしゃか書いて著者に手渡す、という「筆答」というあまり聞いたことがない方式です。そのせいか、けっこうストレートな答えが返ってきているのが笑えます。
 吉田美和(ドリームズ・カム・トゥルー)とのインタビューでは、二人で北海道まで出かけます。吉田美和の実家に行って、彼女の弟の運転で周辺の観光をし、母親手作りのラーメンやいくら丼を食べながら、一家全員を交えての「インタビュー」なのです。私はドリカムのコンサートは映像作品でしか知りませんが、彼女がなぜいつも舞台で疾走し続けているのか、が本書を読んで少しわかったような気がしました。というか、このインタビューの深みは、エアコンが効いた都内のホテルでは引き出せなかったかもしれません。インタビューアーもインタビューイーが育ったのと同じ環境に身を置くことで、見えてくるものがあったようです。
 桜井和寿(ミスターチルドレン)では、彼が1年間の休養を過ごした直後に、「オン(東京での生ギター一本でのゲリラライブ)」と「オフ(沖縄でサーフィン)」の両方に同行して、ほとんどドキュメンタリーのような形でインタビューをおこなっています。
 18人のインタビューイーの中に、特に思い入れのある人がいる場合には、本書は読む価値が増すでしょう。おそらく新しい面が発見できるでしょうから。著者は「旅」という文字にインタビューのどこかの側面を落とし込もうとしているかのように、慎重にインタビューを続けています。勝新太郎のように、まったく自分勝手に話を進められてしまう場合もありますが。
 人の人生を「旅」に例えることは、それほど無理がないでしょう。だから18本のインタビューはそれぞれが「旅」の一部を切り取っているようにも見えます。ただ、著者がこうやって様々な人に出会ってインタビューをしている行為そのものもまた、「旅の過程」のようにも見えます。
 そうそう、著者はインタビューの途中で何人かの人に「ありがとう」と言われています。これはおそらく、著者の人格や姿勢の何かを物語っているのでしょうね。


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