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2016年05月05日07:34

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根拠は書類

 三菱自動車の燃費偽装(というかでっち上げ)事件は「現実よりも書類」が常に優先される、という態度が生み出したと言えます。ところでこの事件を盛んに報道するマスメディアは、その報道の根拠は「現実(調査した結果)」ですか?それとも「書類(三菱自動車やお役所の発表書類)」? もしも一切現実を調査せずに書類だけを根拠に記事をでっち上げているのだったら、それは三菱自動車とお役所の態度と根本的にどこが違います?

【ただいま読書中】『大絶滅時代とパンゲア超大陸 ──絶滅と進化の8000万年』ポール・B・ウィグナル 著、 柴田穰治 訳、 原書房、2500円(税別)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4562052945/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4562052945&linkCode=as2&tag=m0kada-22
 地球の生命の歴史では、天変地異によって種の大量絶滅が繰り返されてきました。たとえば恐竜の絶滅で知られる「白亜紀ー第三紀大量絶滅」は隕石の衝突。「ペルムー三畳紀大量絶滅」はシベリア・トラップの大噴火によります。ところが、「ペルムー三畳紀大量絶滅」を含む8000万年に6度の大噴火と6度の大量絶滅がありましたが、7度目の大噴火では大量絶滅はありませんでした。
 本書では「大噴火でなぜ大量絶滅が起きるのか」と同時に、「7度目の大噴火ではなぜ大量絶滅が起きなかったのか」についても論じられています。
 2億6000万年前ペルム紀中期の地球には、大陸は一つ、パンゲアだけでした。パンゲアは、ペルム紀・三畳紀・ジュラ紀にわたって存在しています。そして、その大陸の時代に、大量絶滅が繰り返されたのです。
 本書では、得られた証拠を総合的にまとめることで、それぞれの絶滅で何が起きたのか、それも、植物と動物、陸上と海中を結びつけることで「実際に地球環境に何が起きたのか」を立体的に浮き彫りにしようとします。
 化石記録および石灰岩中の微量元素(ウラニウムなど)などの研究で、ペルム紀ー三畳紀の2回の大量絶滅期に北半球の海洋は無酸素状態になっていたことや赤道付近の海水温が32度まで上昇していたことがわかりました。著者は、シベリアでの大噴火で17万ギガトンの二酸化炭素とその10分の1の塩化水素が放出され、さらに溶岩に触れて焼かれることで岩から大量のメタンが発生して極端な温暖化が起き、さらに大量のハロゲンガスのためオゾン層が破壊されて紫外線が降り注ぎ、地球は生命には過酷な環境になったのではないか、と考えています。この大絶滅を無事生き抜いた代表が、魚類と昆虫類、およびその昆虫をエサとするキノドン類(のちの哺乳類の先祖)です。
 三畳紀に中国の陸塊が東北部にぶつかって合体することでパンゲアは最大期を迎えます。そして三畳紀ージュラ紀大絶滅が。ここでも、大噴火(現在のモロッコから北アメリカ東部まで(パンゲアがまだ一体出あることをお忘れなく)と海洋の無酸素化が認められます。
 今から約1億8000万年前、パンゲアは分裂を始め、大西洋が生じます。それから4000万年後にこれまでと同様の実に巨大な噴火が。ところがこんどは生命の大絶滅は生じませんでした。著者は「巨大大陸には広大な内陸部がありそこは乾燥していたので二酸化炭素が除去されなかった。また、沿岸部はかぎられていたため有機物の埋め込みによる炭素除去効果も限定的で、だから温室効果が長く続いた→大絶滅」というシナリオを考えています。
 そして6000万年前、よく知られた「恐竜の絶滅」をもたらした隕石が襲来。ところがその100万年前にインドのデカン・トラップの大噴火があり、地球気候は寒冷化から温暖化にシフトしていました。もしかすると恐竜は「隕石+大噴火による気候変動」で絶滅したのかもしれません。逆に言えば、どちらか単独では恐竜は絶滅せず、人類にはチャンスはなかったかもしれないのです。これはまだ仮説ですが、私はこの仮説はけっこう良い線をついているのではないか、と感じられます。タイムマシンが欲しいですね。


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