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2016年03月14日19:50

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「残念な日々」

読書日記
「残念な日々」
ディミトリ・フェルフルスト
 作

ベルギーはフランダースの作家。父親とその兄弟たちやばあちゃんと暮らした自身の生い立ちをもとに描いた短編集。隣近所でも付き合いを避けているほどの大酒飲みぞろいの一家で、たびたび警察のやっかいになる。博打の借金で財産を差し押さえられる。果たして少年が育つのに赦される環境なのか特別青少年育成課から視察に来る。
下品でだらしがないけれど悪事を働くわけではない。一家揃って往年のロイ・オービソンをこよなく愛し、その歌声に涙を流す。まったくもって憎めない愛すべきオヤジ達だ。

もしかしてわざとコミカルに仕立てた作品だったらイヤだなと予断をもっていたが、ぜんぜんそんなことはない。それどころか至って真面目な文章。家族の愛情があふれていて憎しみや悲しみがまるでない。堕落や困窮を描いて、こんなにも愛おしく味わい深いものになるとは。

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