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2015年11月08日07:35

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心配と迷惑

 「マンション傾斜、販売親会社の三井不動産が“初会見”で謝罪」(TBS News-i)http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2629838.html
》「大きな心配、ご迷惑をおかけし、大変申し訳なく思っております」(三井不動産 佐藤雅敏常務執行役)
 別に私には迷惑はかかっていないし、不快感や怒りは感じても心配はしていないのですが……あ、こんな(「心配」「迷惑」には無縁の)人間に対しては別に語るべき内容はない、と言うことなんですね。

【ただいま読書中】『タイムマシン開発競争に挑んだ物理学者たち』ジェニー・ランドルズ 著、 伊藤文英 訳、 日経BP社、2007年、2000円(税別)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4822283267/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4822283267&linkCode=as2&tag=m0kada-22
 光の速度が無限ではなくて有限であることがわかったとき、タイムトラベルの概念が科学の世界に登場しました。光を追い越すことができたら、過去の情報にアクセスできるのです。光速度が時速20km程度の世界を描いた「不思議の国のトムキンス」の現実版ですね。ところが、絶対零度に近い低温で、原子の速度が正確にわかる(位置はわからなくなる)状態の「ボース・アインシュタイン凝縮体」に光を当てたところ、そこでは光速度が「時速」60kmであることがわかったのです。もしかして、そこでは「タイムトラベル」が可能になる?(人類は生存不可能ですが)
 相対性理論では、高速で運動する物体では時間が遅延します。これは様々な実験で確認されています。すると、高速移動する機械は、タイムマシンと言えますか? アインシュタインの“タイムトラベル”は未来への旅ですが、数学者のゲーデルは「回転する宇宙で一定の経路を高速で飛ぶロケットは過去に戻れる」ことを証明しました。残念なのは、私たちが生きているこの宇宙は回転していないことです。
 第一次世界大戦の塹壕で死亡したシュワルツシルトは、塹壕の中での計算で「ブラックホール」の存在を立証しました。興味深いのは、ブラックホールに落ち込んだ探査機を外から観察することができたら、動きがきわめて緩慢になったように見えることです(この現象を劇的に生かしたのが『ゲイトウエイ』(フレデリック・ポール)でしたっけ)。探査機の中では時間は「正常」に経過していますが、ブラックホールの外からは探査機の時間が止まったかのように見えるのです。ブラックホールを「未来へのタイムマシン」として使うのは、危険です。引き込まれたら圧死ですから。ただ、1965年ニュージーランドの数学者ロイ・パトリック・カーは「回転するブラックホール」の特異点はリング状となっているため、その中をうまく通過したら「安全」に未来に行けることを示しました。ただ、天然のブラックホールは身近にはありません。だったら実験室で生成させたら? ずいぶん危ない“タイムマシン”ですが(タイムトラベラーだけではなくて、実験室周囲(下手すると地球そのもの)にも大災厄をもたらす可能性が大です)。
 ホーキング博士は「理論的にタイムトラベルが可能なら、タイムトラベラーはどこにいる?」と疑問を持ちました。真っ当な疑問です。チャールズ・ウィリアム・デイヴィスは「ワームホール」を利用したタイムマシンを提唱します。そういえばこの話は新聞で読んだ覚えがあります。ワームホール自体は相対性理論と矛盾しませんが、問題は瞬時に崩壊するワームホールを壊れないように支えるために反重力をもたらすエキゾチック物質が必要になることです。
 「タイムマシン」を求めて、物理学者がいろいろ苦心をしていることがよくわかります。超科学ではなくて科学、それからSFからも豊富に引用があり、なかなか楽しく読める本でした。


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