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2015年10月29日05:06

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シリアの難民

 現在ヨーロッパに、まるで歴史上の民族大移動のようにシリアから難民が流れ込んでいます。ところでシリアはかつてはローマ帝国の一部だったのですから、つまり「ローマ」の視点からはあれは“国内移動”であると主張することも可能なんですよね。

【ただいま読書中】『ローマ帝国衰亡史』エドワード・ギボン 著、 中倉玄喜 編訳、 PHP研究所、2000年、2700円(税別)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4569611222/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=767&creative=3999&creativeASIN=4569611222&link_code=as3&tag=m0kada-22
 学生の時に読んでものすごく面白かった記憶はあるのです、どこがどう面白かったのかは記憶していないものですから、もう一度楽しむことにしました。
 古代ローマの版図拡大が停止、共和制も終わり、初代皇帝アウグストゥスが即位したところで本書は始まります。
 語り口が魅力的です。単に個人に注目するのではなく、だからといって遠くから概観をするだけでもなく、悠々と「ローマ帝国」に向かって著者は挽歌を歌います。賢帝にも愚帝に対しても、ほぼ同じ筆致で。著者はもしかしたら、ローマの繁栄も衰退も「一人の個人の責任」とは思っていないのかもしれません。たまたま情勢がそうなったときに、たまたまそこにいた人が皇帝となって、成功したり失敗したり、それによってローマの運命が変わっていったのだと考えているのかもしれません。そう、本書の“主人公”は「ローマ帝国」そのものなのでしょう。
 当然キリスト教についても本書で描かれていますが、意外に著者が熱を込めて書くのは、イスラムです。しかし、キリスト教の聖書におけるマリアの無原罪懐胎はコーランからの借り物って、本当ですか? イスラムの版図は拡張し、ササン朝ペルシアを飲み込みます。東ローマ帝国の滅亡まで、あとわずかでした。


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