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2015年10月10日06:56

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「EV」の活用形

 EV EVE EVER EVERY
 EV EVE EVEN EVENT EVENTS
 最後のはちょっとずるかった?

【ただいま読書中】『消えるオス ──昆虫の性をあやつる微生物の戦略』陰山大輔 著、 化学同人、2015年、1600円(税別)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4759816666/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=767&creative=3999&creativeASIN=4759816666&link_code=as3&tag=m0kada-22
 「性の決定」というと、ついつい私は「人の性(XXが女性、XYが男性)」を思います。しかし昆虫の世界の「性」は、複雑怪奇です。「XとY染色体だけではなくて、常染色体も関係している」「XXがオス、XYがメス」「常染色体だけで性を決定」などなど、様々なバリエーションがあります。ところがこの性決定システムが、微生物に乗っ取られる場合があるのです。
 オカダンゴムシ(日本でもおなじみのいわゆるダンゴムシ)は、性ホルモンで雌雄を決定していますが、ボルバキアという微生物がメスに感染すると生まれてくる子供はすべてメスになってしまいます。ヨコエビ(汽水域に生息する小さな甲殻類)は微胞子虫が感染するとオスがメスになります。ちなみに微胞子虫の仲間にはボウフラのオスだけ殺すものもいます。
 ボルバキアは、イタリアのヨコバイの一種やキタキチョウ(シロチョウ科)でも「オス殺し」をおこないます。ではその「戦略」は? 仮説が3つ紹介されますが、そのどれもありそうなものです。ただし、ボルバキアに感染を受ける生物の側も、それに抵抗する遺伝子戦略を採ります。ボルバキアが感染していてもちゃんとオスが生まれるように抵抗遺伝子を発現させるのです。進化論で考えると、ボルバキアの「オス殺し」にも、虫の側の「抵抗遺伝子」にも、それぞれ「種の保存」に有利な“意味”があるはずです。ボルバキアは、単に宿主を殺したり種を絶滅させたら自分も損ですし、虫の側はもちろん自分が絶滅したらいけません。なお、フィラリア線虫やトコジラミでは、ボルバキアが宿主の生存に不可欠だ(必須のビタミンを供給している)そうです。
 ボルバキアは、全昆虫の40%に感染しているそうです。感染経路は「母→子」。細胞質にボルバキアが含まれていてそれが伝わります。ところが、ボルバキアのDNA断片が昆虫の核遺伝子に組み込まれていて、それが子供に伝わっていく例が次々発見されました。さらに、異なる系統のボルバキアが感染した場合、同じ種の昆虫でも交配が不可能になる例もありました。交配できない、ということは「別の種になった」と言えます。9月に読書した『破壊する創造者 ──ウイルスがヒトを進化させた』(フランク・ライアン 著)ではウイルスの遺伝子が進化(種の分化)の原動力、という仮説が紹介されていましたが、本書では細菌も進化の原動力として扱える、と言っています。
 葉緑体やミトコンドリアのように、かつては細菌だったものが細胞の中に取り込まれて共生しているという「細胞内共生」がありますが、自然界では様々なバクテリアが様々な生物と“共生”しています。それを利用すると、たとえば病気の撲滅(蚊にボルバキアを感染させると免疫系が活性化されてフィラリアが蚊の体内で増えなくなる、といった現象)を生物学的に起すことが可能になりそうです。進化論的にも生態学的にも医学的にも、微生物との「共生」はまだまだ不思議なことがたくさん見つかりそうです。


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