mixiユーザー(id:235184)

2015年07月25日13:52

136 view

プロレスは八百長?

 高校の頃だったかな、プロレス好きの級友の間で「プロレスは真剣勝負をしている」「いや、あれは八百長だ」という論争がありました。論争よりも実技が好きな連中は、プロレス同好会を立ち上げて、文化祭では公開試合をおこなったりしていました。あばら骨の浮いたひょろひょろの学生が、テレビでやっているプロレスの試合の物まねを真剣にやっているのは、なんともユーモラスなものでしたっけ。
 ちなみに私は、プロレスは筋肉で演じられるミュージカルのようなもの、と思っています。筋書きのある舞台で、歌の代わりにマイク・パフォーマンス、ダンスの代わりにプロレスの技を繰り出しているもの。観客はその“演技”の素晴らしさを楽しむために集まっている。
 たとえばアメリカ最大のプロレス団体WWEの「E」は「Entertainment」です。団体名からして真剣勝負か八百長か、といった単純な対立構造を越えていることを示しています。
 ただ、いくら筋書きがあっても、プロレスの技はきついですよ。きわめてシンプルなボディ・スラム(相手を担ぎ上げて背中からマットに叩きつける技)でも、一度食らったらわかりますが、衝撃で息が止まります。しかも首を折ったりしないようにするためには、技をかける側とかけられる側の“協力”が必要です。やっぱりプロレスは、見て楽しむ方が良いです。

【ただいま読書中】『仕事師たちの哀歌(エレジー)』夢枕獏 著、 集英社、1989年、971円(税別)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4087727173/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=767&creative=3999&creativeASIN=4087727173&link_code=as3&tag=m0kada-22
目次:「ギミック」「サブミッション」「ケーフェイ」「シュート」「ナックルビジネス」

 タイトルにプロレスの世界での専門用語が並んでいます。そして登場人物は、微妙に重なりながら日時と共に流れていく連作短編集です。
 「ギミック」には「東大出のプロレスラー」が登場します。読んでいて私は「キックが危険すぎる」と団体を首になったレスラーのことも思い出していました。
 「ケーフェイ」では、上に書いた「真剣勝負か八百長か」の“議論”が登場します。そしてそれを越える「真剣さ」と「強さ」も。
 本書の全編に充満しているのは「プロレスが好き」という気持ちです。だよねえ。好きでなきゃ、あんな辛い商売に参加しませんよねえ。こんな面白い小説を書きませんよねえ。


0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2015年07月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031