「言葉の後」は？

　「責任は私にある」「看過できない」というのは、ずいぶん格好良くて何かを言い切ったかのような言葉です。だけど、それを言うだけでオシマイにして良いです？
　たとえば私の未成年の子供が何かとんでもないことをしでかした（私が親として子供の行為に責任をとらなければならない）として、私が「親として責任は私にある。こう言ったからもう良いよね。オシマイオシマイ」と言ったらそれで良いです？　「子供の行為は看過できない。看過しないよ。それで良いよね」と言ったらそれで良いです？

【ただいま読書中】『ちいさいモモちゃん』松谷みよ子　著、　菊池貞雄　絵、講談社（青い鳥文庫）、1980年（89年23刷）、388円（税別）
http://www.amazon.co.jp/gp/product/406147006X/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=767&creative=3999&creativeASIN=406147006X&link_code=as3&tag=m0kada-22
　初めてこの本を読んだのは私は小学生高学年の時だったでしょうか。「ちいさいモモちゃん」が可愛かったなあ。ただその頃の私は心の中の分類棚で「くまのプーさん」と同じジャンルに本書を分類していたように思えます。だって、ニンジンや猫もしゃべるんですもの。まるでしゃべるぬいぐるみのように。
　今読んで「これは“母親の物語”だ」と私は思います。母親が我が子に対して降り注ぐ愛情を、「作家である母親」が「文学」に注ぎ込むことで産まれた作品だ、と。
　著者は、「我が子のモモちゃん」にこの物語を語りかけながら、同時に世界中の子供たち（世界中のモモちゃん）にも語りかけています。そして同時に世界中のモモちゃんの親たちにも。だから本の中でももちゃんが「おう、おう」と涙を振り飛ばしながら泣くとこちらは笑いたくなります。笑いながら一緒に泣きたくなります。
　調べてみると、著者は今年亡くなったそうです。それを知ってまた私は泣きたくなってしまいました。なぜでしょう？