mixiユーザー(id:235184)

2015年05月29日06:50

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普通ではない話

 「普通はそんなことはしない」などと面と向かって言っている場面、それはつまり「お前は普通ではない(異常だ)」と面と向かって言っている、と解釈して良いです?

【ただいま読書中】『戦後日本海運における便宜置籍船制度の史的展開』合田浩之 著、 青山社、2013年、5000円(税別)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4883593193/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=767&creative=3999&creativeASIN=4883593193&link_code=as3&tag=m0kada-22
 日本ではなくてパナマ・リベリアなど法律が緩い国に船を登録することを「便宜置籍」と呼びます。
 実は戦前から便宜置籍船は運用されていました。明治42年より日本政府は外国中古船の輸入を制限し、自国の造船を奨励しようとしました。それに対して海運業者は、自由港(輸入関税がかからない)の関東州(や朝鮮)に子会社を設立してそこに自分たちの船を配置して、日本への輸入関税を回避しました(これには、中国人船員を安く雇えるメリットもありました)。昭和7年に中古船の輸入が日本・朝鮮・関東州・台湾で禁止されると、外国籍の船として日本の会社が運用する変態輸入船も登場しました。
 戦後も便宜置籍は行われました。理由は、人件費の削減。日本籍の船には日本人船員を配乗させる必要がありますが、日本人船員は外国人(多くは東南アジア)の8倍以上のコストがかかるのです。戦後すぐには、ドル調達が容易とか節税も理由でしたが、現在はその利益は消滅しています(日本では1979年に「タックス・ヘイブン対策税制」を導入しています)
 船は公海上を航行しますが、船上で何かがあった時、そこにどの国の法律を適用するか、それを決めるために「国籍」が必要なのです。
 著者は「仕組船」ということばについて、詳細に研究しています。現在は「日本の船会社が、外国に子会社を設立してそこで所有する船舶」が「仕組船」と呼ばれているのだそうですが、昔は別の意味を持っていて、それが変容してきたのにそれをこれまでの研究者が重視していなかったために便宜置籍船制度の研究が混乱している、と。研究論文のオリジナリティーを主張するためにはどうしても「これまでの否定」も折り込まなければなりませんが、あいにく私は「これまで」のことを何も知りませんので、申し訳ないけれどあまり感銘を受けません。ただ、日本の海運が戦前から「グローバリゼーション」の道を歩んでいたことには感銘を受けました。「外国との交易」に「国粋主義」は似合わない、ということなのでしょうか。


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