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2015年05月17日07:28

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流線型の車

 私が子供の頃の「未来の車」の多くは流線型でした。機能的な必然性と言うよりも、デザイン的にスピード感があるからその形が採用されていたのではないか、と私は現在考えています。
 実際の乗用車は、以前は四角四角していましたが、最近は板金加工の進歩のおかげか、ずいぶんなめらかな曲線から構成されるようになって流線型に近づいています。これは空気抵抗を減らすための必然性からのデザインもあるでしょう。ところが、画竜点睛を欠く、というか、「流線型」で問題となるのが、フロントグリルです。エンジンを冷却するための空気取り入れ口が車体のどこかに必要ですが、これがなんとも非流線型。
 ただ、電気自動車や燃料電池車になれば、このフロントグリルは廃止できそうです。楽しみです。
 となると残るのは、フロントガラスの立ち上がりですね。これについては、「ガラスを通して前方を確認する」ことを廃止すると何とかなりそうです。車体とコックピットの完全一体化で「流線型」の実現です。これもできたら、楽しみです。ただ、デザイナーはこんどはどこで腕を振るえば良いのだろう、と悩むかもしれませんが。

【ただいま読書中】『剣客商売全集 第七巻』池波正太郎 著、 新潮社、1992年(98年3刷)

 剣客商売「波紋」(短編集)と「暗殺者」(長編)の合巻です。
 作品の冒頭の一行が「その日。」とか「この日。」とかであるのは、論理的には意味がないのですが、慣れると味わいがあると感じます。
 下っぴきとして新しく登場した、左腕を切り落とされた繁蔵が、続けて登場します。繁蔵の左腕を切り落とした武士が、秋山小兵衛と意外な結び付きを持っていたのですが……
 小兵衛は“順調”に老境を進んでいますが、著者の文章も少しずつ切れが悪くなっているような印象を私は持ちます。全盛期だったらここはもう少しすぱっと軽やかに風が吹くようにことが進んだのではないか、と思うこととか、この表現は以前にも何回か登場したぞ、と思うシーンが所々に。これが長編だったらたぶんほとんど気になりません。だけど短編だと、こういう細やかなところが気になるんですよね。
 長編「暗殺者」は、「波紋」の巻末に置かれた「夕紅大川橋」と直接つながった話となっています。こうやって合巻となっていると実に自然に読めるので助かります。腕の立つ暗殺者が謎の依頼を受けますが、そのターゲットはどうも秋山大治郎のようなのです。なぜ大治郎が暗殺の対象に? そこには天下を揺るがすかもしれない陰謀が隠されていました。大治郎は例によって泰然自若、火の粉が降りかかってきたら払えば良い、という態度ですが、小兵衛はもう心配で心配で、陰で走り回っています。そして、暗殺者の側にも彼の“ドラマ”がありました。
 小兵衛はずいぶん変わってしまいましたが、暗殺者の回りでも「以前とはずいぶん変わってしまった人たち」の人間模様が展開されます。本書の本当の主人公は「残酷な歳月の流れ」なのかもしれません。登場人物だけではなくて、著者も含めて。


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