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2015年04月28日06:25

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読んで字の如し〈草冠ー11〉「英」

「英国」……英明な国
「英明」……英国人は明るい
「俊英」……俊敏な英国人
「英雄」……イギリス紳士
「英文学部」……卒業生は全員英文学者になる学部
「英和」……イギリスは平和
「石英」……石化した英国
「英語」……米語とは違う言語
「英霊」……なぜか最近「ご」をつける人が増えている
「育英会」……優れていない人は育たない集まり

【ただいま読書中】『完璧な夏の日(下)』ラヴィ・ティドハー 著、 創元SF文庫、2015年、1000円(税別)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4488752020/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=767&creative=3999&creativeASIN=4488752020&link_code=as3&tag=m0kada-22
 第二次世界大戦後の世界は、フォッグ抜きで動いています。ナチスに参加していたユーバーメンシュたちは、戦犯として追われ裁かれ、あるいは貴重な人材として秘密裏にスカウトされます(ちょうどフォン・ブラウンがスカウトされたように)。ベトナム、ラオス、アフガニスタン……世界各地での紛争や戦争などでも、各地のユーバーメンシュたちが“活躍”します。そして、ある国際会議で「波動はまだ続いている」という目立たないがそれが本当だったらとんでもない発表が。そして9・11。ここでは「ヒーロー」(困難なときにさっそうと登場して人々を危機から救う存在)は現れませんでした。「ヒーロー」とは何か?という問いは本書の上巻からずっと継続的に問われ続けていますが、9・11で「ヒーロー」は死んだのです。
 それにしても、「ヒーロー」って、何でしょう? 本書にはユーバーメンシュは多数登場しますが、「ヒーロー」らしい人(超人)はいません。もちろんメディアを通せば彼らも「ヒーロー」になるのですが。望んだわけでもないのに超人的な力を発現させられ、老化をしなくなった永遠の「ヒーロー」たちですが、彼らの心は確実に老い続けています。
 そして時代は「現代」にたどり着き、フォッグが再登場します。第二次世界大戦直後のある一日に、フォッグがなにやら不明瞭な動きをしていたことが今さらながら問いただされます。もちろんそれには理由があります。「完璧な夏の日」を終わらせなければならない、という理由が。
 本書でずっと採用されていたカットバックの手法が、ここでじわじわと効いてきます。それと、本書の語り手「われわれ」が一体誰なのか、ということもまたあらためて疑問として浮上してきます。
 イギリス人流のちょっとひねくれたアメコミの読み方が披露され、「ヒーロー」の恋愛事情が腫れ物に触るように描かれます。そして最後にフォッグは選択をしなければなりません。「夏への扉」をくぐるかどうかの決断です。もし私だったらどうするだろうか、と考えてしまいます。ヒーローどころか、ヒーローもどきのような者にさえなれない私が考えても仕方ないことではあるのですが。


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