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2015年04月22日07:01

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肉食獣と草食獣

 生命の誕生が実際にどのようなものだったのかはまだ謎ですが、最初の単細胞生物はおそらく化学エネルギーか太陽エネルギーを“栄養”としていたはずです。で、そのうちに、他の生命が持っている資産を乗っ取って生きていく「肉食」生命体が登場したのでしょう。では、多細胞動物で「肉食系」と「草食系」のどちらが先に出現したのだろう、と想像してみました。たとえば陸上の動物で考えてみます。海から地面への生命の上陸は、植物が動物に先行していたはずです。で、それを餌にする草食動物が上陸してさらにそれを餌にする肉食動物が進化で出てきた、というのが素直なストーリーに思えますが、餌として「陸上の未知の植物」よりも「タンパク質の塊」である動物の方が価値は高いようにも思えます。また、パンダのように肉食獣が草食に“進化”することはほかにもありそうですが、その逆はけっこう難しそうです。つまり陸上において「肉食→草食」は進化の過程であるでしょうが、「草食→肉食」はないのではないか、というのが私の想像です。
 ということは、「草食性男子」は「進化の頂点」に位置している、ということに?

【ただいま読書中】『高崎山のベンツ』江口絵里 著、 ポプラ社、2014年、1200円(税別)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4591142612/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=767&creative=3999&creativeASIN=4591142612&link_code=as3&tag=m0kada-22
 大分県高崎山には1300匹以上のニホンザルが生息しています。そのB群でこれまで最年少の9才でボスザルとなったベンツは、C群のメスザルとの恋がきっかけで群れから追われ、C群で最低位の雄として再出発をします。オスの序列はけっこう保守的に定められているのです。“クーデター”をしない限り、上が抜けないと基本的に“出世”はありません。
 群れを移動、ということは“敗残”のイメージがありますが、実は必ずしもそうではありません。メスは群れを移動しませんが、彼女らが気を惹かれるのは、新参のオスや他の群れのオスである傾向が強いのです(おそらく遺伝子をシャッフルするためでしょう)。つまり、長く同じ群れにいて権力階梯を順調に上昇していたら、モテなくなってしまうのです。
 ともかくベンツはC群でも順調に出世します。
 高崎山では、観光と周囲の畑への被害防止のために、餌付けが行われていました。えさ場を占有する時間がいちばん長いのは、最大の群れであるA群。次がC群で、最弱がB群でした。ところが気性の荒いベンツはそれが気に入らず、A群にずっと喧嘩をふっかけ続けます。その闘争は2年間に及び、ついに800匹もいたA群は消滅してしまったのです。“伝説”の誕生です。
 そこまで気が荒く喧嘩っ早いベンツですが、群れの中の序列はずっと尊重し、年老いたボスのゾロにきちんと従っていました。そしてゾロが姿を消したとき、その後を継ぎます。高崎山で二つの群れのボスザルになった、唯一のサルです。しかしベンツも35歳を越え(人なら100歳以上)、ついに最後の日を迎えようとしている、と観察者の目には見えました。しかしそこからベンツは新しい「伝説」を書いていったのです。高崎山から一時離れて街中で捕獲され、山に戻されましたがそこで(これまでの前例に反して)群れに復帰、さらにはボスザルの地位に復帰したのです。
 ニホンザルの群れの中の序列は、なかなか複雑です。特にオスの場合、そのオスの“力の強さ”だけではなくて、他のオスとの仲の良さとか義理堅さとか、メスからの支持とか、人間関係、じゃなかった、サル関係によって微妙な調整が行われます。そのへんが面白いから、研究者は熱心に研究し続けるのでしょうね。


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