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2015年04月21日06:58

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風が吹けば桶屋が儲かりますが

 管制官が配置されている国内の空港では最高高度に位置していて、山地で天気が荒れやすく、さらに今回の事故で計器着陸の機器が壊れたため、事故再発予防のために雨が降れば広島空港便は欠航だそうです。なんでそんな天気に弱いところにわざわざ空港を開港したんでしょうねえ。

【ただいま読書中】『ヒトラーの宣伝兵器 ──プロパガンダ誌《シグナル》と第2次世界大戦』ジェレミー・ハーウッド 著、 大川紀男 訳、 悠書館、2015年、8000円(税別)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4903487997/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=767&creative=3999&creativeASIN=4903487997&link_code=as3&tag=m0kada-22
 1939年9月1日ドイツ軍がポーランドに侵攻、6週間後にポーランドは降伏します。ヒトラーは英仏には「平和」を提案。彼の関心はそのときノルウェーにありました。40年4月9日デンマークとノルウェーにドイツ軍が侵攻します。最重要目標は、スウェーデンの鉄鉱石をドイツに運搬するルートの確保。
 そして1940年4月《シグナル》が創刊されました。《ライフ》や《ナショナル・ジオグラフィック》をお手本とした新しいスタイルのグラフ雑誌は、写真と読み物で構成され地図うあ解説の図も見やすく描写されていて、最盛期には20ヶ国語の版が出版され、隔週発行の毎号250万部の売り上げを誇りました(英米を占領したときに備えて、英語版まで出版され、宣戦布告までUSAでも実際に発売されていました)。本書ではその《シグナル》の誌面そのものを紹介しています。英語の商品広告が載っているページは、なんだか不思議な気分がします。
 「ノルウェー」の目的は「英国の侵略からノルウェーを守るため」だそうです。実際に、ノルウェー侵攻をするドイツ軍に対して英国海軍はけっこうな打撃を与えています(そのため、後日予定された英国上陸作戦に影響が出ました)。つまりノルウェーにいるドイツ軍から見たら自分たちを攻撃するイギリス軍は“侵略者”になるわけです。
 フランス侵攻では、従軍カメラマンが“リアルタイム”の写真を撮影しています。しかもカラー。従軍カメラマンと言えば私は「キャパ」をすぐ思いますが、従軍カメラマンが活躍していたのは連合軍だけではなかったわけです。急降下爆撃機に同乗したカメラマンもいます。急降下して爆弾が標的の敵船に命中するまでを後部座席から連続撮影しているのです。最前線からフィルムを後方に届ける兵士のオートバイ行も「敵中突破の冒険読み物」となって紹介されています。
 戦争だけではなくて、ベルリン競馬場やキャバレーでのダンスシーンなどの“日常生活”も登場します。もちろん「リリー・マルレーン」も。
 私には意外なことに、「強制収容所」も登場しました。ただし、ソ連の政治犯収容所で、ウクライナ人が数千人殺されていた、という写真と記事です。もちろんソ連に侵攻したドイツ軍は“解放軍”です。
 やがてドイツが劣勢に立たされると、《シグナル》も凋落を始めます。ただ、“姿勢”は変わりません。せっかく「ドイツがヨーロッパから戦争を追放した」のに、連合軍がヨーロッパに戦争を持ち込んできたのです。そして、爆撃を受けたドイツの写真はありますが、それは連合軍の「テロ爆撃」を非難するためです。そして、ベルリンから疎開した編集部から《シグナル》の最終号が発行されたのは45年3月、ヒトラーが自殺する数週間前のことでした。
 「プロパガンダ」がいかなるものか、“実物”で知ることができます。これはそういった点で貴重な本です。


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