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2015年04月14日06:57

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仁和寺の法師

 徒然草では「仁和寺の法師」は間抜けな行動をする人扱いです。
 この前仕事で京都に行ったとき、たまたまホテルのすぐそばに嵐電の駅があってたまたま時間がぽっかり空いたので、嵐電で仁和寺に行ってみる気になりました。別に意味があるわけではありませんが「仁和寺の法師」は知っていても「仁和寺」に行ったことがなかったものですから。なんだかすごい人出で驚きました。人気の観光スポットだったんですか?
 参拝をすませて傍らを見ると「御室桜が満開です」との看板が。「桜を見るために、500円?」と思いましたが、まあ話の種に、と思って入ってみたら、それはまあ見事なこと。これを見ずに帰っていたら、私が「仁和寺の法師」になるところでした。

【ただいま読書中】『革命の倫敦 ──ブックマン秘史1』ラヴィ・ティドハー 著、 小川隆 訳、 早川書房(ハヤカワ文庫SF1916)、2013年、1000円(税別)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4150119163/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=767&creative=3999&creativeASIN=4150119163&link_code=as3&tag=m0kada-22
 霧のロンドン。空には飛行船、照明はガス灯。もちろん蒸気機関が大活躍しています。登場するのは、凄腕のアイリーン・アドラー警部、モリアティ首相、情報局の重鎮(とおぼしき)マイクロフト、スイスの滝つぼで発見されて以来ずっと意識不明のマイクロフトの弟……ここはシャーロック・ホームズの世界ですか? でも“役割”が違うぞ、と思っていると、イギリスの王族は蜥蜴族です。さらに火星探査機打ちあげ計画が。
 ここは地球ですか? 時代はいつですか?
 主人公の名前は「オーファン」。人を食った名前ですが、名前の通り両親はいません。居候を決め込んでいるのは書店。しかし、彼が行く先行く先で、本を「武器」として使うテロリスト、ブックマンが活動を始めます。そのため、オーファンの恋人ルーシーは殺されてしまいます。絶望の淵に沈むオーファン。しかしそこで「ルーシーを生き返らせる手段」がブックマンによって提示されます。ただしルーシーを取り戻すためには、ブックマンの言いなりにならなければなりません。オーファンは(チェスというゲームでの)「ポーン」になることにします。ゲームマスターの言うとおり動く、最低のコマです。ただしポーンも、前進を続けていけばいつか女王に“成る”ことも可能ではあるのですが。オーファンはジュール・ヴェルヌと「ノーチラス号」(という名前の帆船)で出港しますがすぐに海賊船に襲われ、海賊になる誓いを立て、そしてついに「謎の島」に上陸します。そこでオーファンが出会ったのは、自分自身の意外な出自でした。
 「本」が本当に重要な役割を果たしています。単に「文字がぎっしり詰め込まれた物体」としてではなくて、もうちょっとダイナミックな「情報のアーカイブ」としての機能が本書では果たすものなのです。本当に「本」がそのようなものになったら、これは楽しい世界になりそうですが、おちおち本をのんびり読むことはできなくなるかもしれません。


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