mixiユーザー(id:235184)

2015年04月12日06:57

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傾げられた首

 この前若い衆が大量に集まっているところに出くわしたのですが、皆さん同じ角度に首を傾けて手元を見つめていました。もちろん手にはスマホ。
 で、ふっと思ったのです。あれで手に持っているのがスマホではなくて本だったら“大人”は何も言わないんだろうな、と。首の角度はたぶん似たようなものだと思うのですが。だったら、スマホで面白く読める“本”を開発したら良いのでは? 少なくとも“受け入れ態勢”はできていますよ。

【ただいま読書中】『素数はなぜ人を惹きつけるのか』竹内薫 著、 朝日新聞出版、2015年、720円(税別)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4022736038/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=767&creative=3999&creativeASIN=4022736038&link_code=as3&tag=m0kada-22
 のっけから面白い記述が登場します。「有理数・無理数は“誤訳”で、本当は有比数・無比数とするべきだった」とか「素数はそれ以上分解できない数だから、もしかしたら元素のようにすべての数が素数の組み合わせによって表現できるのかもしれない」とか。
 著者はガウスのファンなのかな、ガウスの天才ぶりをこれでもか、と何回も書いています。そもそも「コンパスと定規(目盛りなし)だけを用いて正17角形を作図する方法」を19歳で思いついて、それで言語学者ではなくて数学者になる気になった、なんて人ですからねえ。もし言語学に進んでいたら、人類はどんなプレゼントをもらっていたのだろう、とそちらも気にはなります。
 そしてリーマンの「ゼータ関数」が登場。この辺から話はどんどん複雑怪奇になっていきます。ハーディー、リトルウッド、チューリングなどが登場し、とうとうダイソンが「素数のゼータ関数と、原子核のエネルギー準位を表す関数とがよく似ている」ことに気づきます。数学と物理学の幸福な結合です。本当は相対性理論もアインシュタインという「天才」がいなくても数学と物理学がきちんと出会っていたら19世紀に生まれていたはずなのだそうです。そして「超ひも理論」にもゼータ関数が関係してくれます。「素数の関数」がどうしてリアル宇宙に関係してくれます?
 素数の入門書を読むと私はいつも不思議な気分になります。概念としての数学がどうして現実と密着しているのだろう、と。それと、本書では数学と物理学の共同作業が大きな効果を示したことが紹介されています。ならば他の「学」も「他の学」と一緒に作業をしてみたら、いろいろ面白いことが起きるのではないでしょうか。そこで必要なのは「いろんな専門家と話ができるコーディネーター」かな。


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