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2015年04月03日07:10

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顔パス

 私は近くのコンビニで名乗らなければならないサービスを、この数箇月、月に2〜3回ずつ利用し続けています。すると先日は店に入るなり「おかだ様、いらっしゃいませ」と。コンビニで顔パスがきくようになったことを喜ぶべきか、ちょっと複雑な気分です。

【ただいま読書中】『ラベルのない缶詰をめぐる冒険』アレックス・シアラー 著、 金原瑞人 訳、 竹書房、2007年、1400円(税別)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4812490421/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=767&creative=3999&creativeASIN=4812490421&link_code=as3&tag=m0kada-22
 缶詰の中に閉じ込められたような閉塞感の中を生きている少年ファーガルは、ラベルが剥がれてしまって特価品ワゴンで売られている缶詰のコレクションを始めます。なるべく中身が推定できないものを集めようとしますが、50個になったところで両親にストップをかけられます。それ以上増やすことはまかりならぬ、一つ買うたびに一つ開けること、と。しぶしぶファーガルは異様に軽い缶詰を開けます。一つ目から出てきたのは、金のピアス。二つ目からは、人の指。切断された指です。誰の? なぜ缶詰に?
 ここからファーガルと読者の冒険の日々が始まります。
 ファーガルは同好の士とやっと出会えます。ファーガルと同じく、周囲から頭がよいと思われていて、その期待を裏切る勇気もなくて缶詰コレクターとなった少女、シャーロット。シャーロットも自分の缶詰から、ファーガソンと同じく、「不思議だけれど気持ち悪くないもの」と「気色悪いもの」とを見つけていました。一つは指輪、そしてもう一つは……
 いやもう、あり得ないでしょう? 明らかに「事件」です。そして2人は自分たちだけで謎を解く気満々なのです。そして、ファーガソンは缶詰の出所を見つけ、そして自分自身も“缶詰”に閉じ込められてしまいます。それを救えるのは……シャーロットだけ。大人は使い物にならないのです。
 焦燥感と無力感とにさいなまれつつ、不気味でおぞましい結末に物語はなだれ込んでいきます。そしてそれが“ハッピーエンド”なのです。次に缶詰を開けるとき、私はちょっと振ってみるかもしれません。そして、開ける前にその中身を透視するかのようにじっと見つめてしまうかもしれません。
 怪作です。こんなに面白くて不気味な作品を子供に読ませて、良いのかなあ。


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